ロンザ、「UC-Ⅱ」をリフレーム 【コラーゲン特集】新たな価値を付加する狙い
ペプチド化されていない〝非変性〟Ⅱ型コラーゲンのブランド原材料「UC-Ⅱ」。コラーゲンには20種以上の型がある中で、軟骨に多く含まれるⅡ型に着目して1990年代後半に開発された鶏由来の関節ケア素材だ。2016年、開発した米国企業を、スイスを拠点に医薬・栄養関連製品の開発や販売を手掛けるロンザが買収。このためUC-Ⅱは現在、ロンザのグローバルネットワークを通じて展開されている。日本での取り組みを取材した。
元々あった土壌、さらに耕し一層普及へ
UC-Ⅱは上市後、まずは米国のダイエタリーサプリメント市場で人気を博す。2000年代半ばから国内健康食品市場でも販売がスタート。有効摂取量が1日当たり40ミリグラムと、グラム単位で摂取が必要な場合もある関節ケア素材としてはかなり少なく、最終製品としても最小「1日1粒(カプセル)」に抑えられることで注目され、比較的短期間のうちに業界内認知が定着していった。
15年に制度施行された機能性表示食品においても、UC-Ⅱに含まれる非変性Ⅱ型コラーゲンは、関節ケア領域の機能性関与成分として、制度施行初期の段階から届出件数を積み上げていった。その数、現在までに40件を超える。世界40カ国に展開するロンザの日本法人ロンザ㈱(神奈川県相模原市)は今、そうした元々あった土壌を更に耕し、ロンザのブランドとして一層の市場普及を図ろうとしている。それを実現させるためのキーワードは、「リフレーム(reframe)」(新たなフレームを当てはめて捉え直す)だ。
UC-Ⅱ専用工場を竣工 「スケールメリット生かす」
UC-Ⅱを開発した米インターヘルス社を買収した翌17年にロンザは、医薬品・サプリメント用ハードカプセルの製造販売を手掛けるグローバル企業カプスゲルを買収し、陣容をさらに拡大させた。
これにより、「新たな研究投資をはじめ、アプリケーション開発や最終製品における定量分析サービスの提供のほか、スケールメリットを生かすことで従来よりも販売価格を抑えるなど、新しい価値を付加したUC-Ⅱを提供できるようになった」と、同社の健康食品原料事業の担当者は話す。
ロンザは20年、旧カプスゲルの米国工場敷地内にUC-Ⅱ専用の製造拠点を竣工。カプスゲルの買収、統合にともない営業力が強化されたこともあり、年間生産量は以前よりも大きく増えているという。スケールメリットを生かせるのはそのためだ。
ユニークな作用機序、改めてスポット当てる
機能性表示食品対応素材としてのUC-Ⅱもリフレームさせている。
22年発表の最新論文に基づき、UC-Ⅱとして新たなヘルスクレームを可能にした。「非変性Ⅱ型コラーゲンを継続摂取する事により、中高年健常者の日常生活における膝の動き(階段の昇り降り、しゃがむ、床に落ちているものを拾う)をサポートすることが報告されています」というもので、日常生活に根差した膝の悩み解消を訴求できるようにした格好。
これとは別に、21年、「継続摂取する事により、ひざ関節の伸展(ひざ関節の可動域)の改善機能が報告されています」のヘルスクレームを届け出てもいる。
「ロンザ全体としてUC-Ⅱ(の普及)に注力している」(同)という。「関節素材はさまざまある中で、経口免疫寛容(免疫プロセスの1つ)を誘導することで関節の健康を増進するという作用メカニズムについて20年来におよぶ研究実績を持つものは他にない。それに加えて体感できる」ためだとする。
「ユニークな作用機序も含め、UC-Ⅱの優位性を改めて訴え、ユーザーのすそ野を広げていきたい。日常生活で関節に不安を持つ中高齢者をはじめ、アスリートのひざ関節のケアやペット向けなど、UC-Ⅱを活用できる分野はまだまだある」としている。
【石川太郎】
<COMPANY INFORMATION>
所在地:神奈川県相模原市中央区南橋本4-3-36(相模原事業所)
TEL:042-700-6700
URL:https://www.lonza.co.jp/
事業内容:ハードカプセル・剤型ソリューション・健康食品原料事業など
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