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リピート客重視へ舵を切る通販企業

<送料無料を見直す動きも>

 2015~16年にヤマト運輸の収益悪化が発表され、「宅配クライシス」という言葉とともに、物流問題が表面化した。ECの拡充もあり、宅配便の取り扱い個数は1984年当時の3億8,500万個から、16年度には40億1,900万個にまで拡大。物流各社は、一斉に配送料金の値上げを要請した。

 そうした動きを受けて、ある化粧品の単品通販会社では創業以来、送料無料にしてきたが、昨年から3,240円の注文総額のバーを設け、その金額に満たない場合は消費者に送料の負担をお願いしているという。別の健康食品の単品通販会社では、これまで2,500円以上で送料無料にしていたが、2,500円以上で100円、2,500円未満で400円の送料を負担してもらうことにしたとしている。

 また、ECやテクノロジーの進化によって、少ない資金、短い期間で事業を始められるようになり、通販事業者数が増えている。それに伴って客の取り合いとなり、新規獲得至上主義が幅をきかせるようになった。

 新規獲得を重視しすぎたことによる弊害も発生しているようだ。「初回購入金額の無料や大幅な値引きを適用し、新規客を優遇した販売を行うことで、既存客が離れていく。なおさら新規獲得を強化せざるを得なくなっているのではないか」。また、「新規を獲得するために、消費者にとって魅力的な広告表現、つまり過激な表現をしなくてはならない。それが大胆な値下げや、効果効能の過剰表現につながっている」という見方もある。

 通販各社では、顧客との関係を構築し、優良顧客の育成CRM(Customer Relationship Management) を重視する動きが見られるようになった。しかし、「CRMのRをRelationshipではなく、Responseとする考え方が横行している。本来のRelationshipに戻す必要がある」という指摘もある。

 そうした本来あるべきCRMを強化する動きも出始めた。同梱物や販促ツールなどの紙媒体の見直しもその一つ。「同梱物を工夫することで、新規顧客からリピート客へ、リピート客から有力顧客へと変えることができる」などの声も聞かれる。

【藤田 勇一】

※詳細は「Wellness Monthly Report No.8」(2月末発刊)に掲載。

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