ヤマト運輸㈱（東京都中央区、長尾裕社長）は6月10日から、「宅急便」や「宅急便コンパクト」の受け取り方法に、新たに「置き配」を追加する。5,600万人以上が登録する個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」の会員が対象。

　ECの拡大で、2022年度の宅配便取扱個数は、10年間で約1.4倍の約50億個に増加した。一方で、ライフスタイルの多様化やコロナ禍による非対面受け取りニーズの高まりなど、荷物の受け取りニーズは多様化している。宅配便の再配達率は23年10月で約11.1%（国土交通省23年12月19日発表）となっており、政府は、今後輸送力不足が懸念される物流の「2024年問題」への対応として、23年6月に「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定し、再配達率を24年度に6%へ削減することを盛り込んでいる。

　同社は、多様な受け取りニーズに対応するため、個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」の会員を対象に、同社営業所やコンビニエンスストア、オープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」など全国5万カ所以上の自宅外での受け取り場所の拡大や、荷物の「お届け予定通知」、「ご不在通知」サービスの提供などにより、荷物の受け取り利便性の向上を図ってきた。
　20年6月からは、「置き配」にも対応したEC事業者向け配送商品「EAZY（イージー）」を発売し、現在、ヤマト運輸が取り扱う年間約23億個の宅配便のうち、「EAZY」の取扱個数は約5億個にのぼるという。
　
　今回、社会的にも「置き配」の認知やニーズが広まりつつある状況を踏まえて、「EAZY」に加えて「宅急便」、「宅急便コンパクト」の受け取り方法に、新たに「置き配」を追加する。荷物を一度で受け取りやすくなることで、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス排出量の削減に貢献し、持続可能な物流の実現を目指すとしている。