ミネラル水の新基準にQ&A PFOS・PFOAを含むミネラルウォーター類に、消費者庁が公表
6月30日に告示、施行したPFOS・PFOAを含むミネラルウォーター類の新基準を受けて、消費者庁は4日、Q&Aを公表した。同庁はこの中で、食品衛生法に基づくミネラルウォーター類の成分規格の一環として新たに設定された基準値の考え方や背景を解説している。
質問は以下の9件。
Q1.ミネラルウォーター類に関するPFOS及びPFOAの基準値はどのように設定されたのですか。
Q2.海外では、飲料水のPFOS及びPFOAの規制はどのようになっていますか。
Q3.ミネラルウォーター類のうち、殺菌又は除菌を行わないものについては、PFOS及びPFOAの規格基準を設定しないのですか。
Q4.ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水については、PFOS及びPFOAの規格基準を設定しないのですか。
Q5.食品製造用水については、PFOS及びPFOAの規格基準を設定しないのですか。
Q6.PFOS、PFOA以外のPFASについては、基準値を設定しないのですか。
Q7.有機フッ素化合物(PFAS)とはどのような物質ですか。PFOS・PFOAとはどのような物質ですか。
Q8.PFOS及びPFOAの耐容一日摂取量(TDI)はどのように設定されたのですか。
Q9.PFASに関して他にも情報を得られるところはありますか。
Q&Aによれば、PFOSおよびPFOAの基準値は、ミネラルウォーター類のうち殺菌または除菌を行うものに対して、両物質の合算値として0.00005 mg/L(50 ng/L)に設定された。この基準値の算出には、水道水の水質基準と同様に、TDI(耐容一日摂取量)の10%を水由来のばく露量とし、成人平均体重50kg・1日2L飲水という前提条件が用いられている。
一方、殺菌・除菌を行わないミネラルウォーターについては、食品衛生法上の製造基準において、泉源や採水地点の環境保全と人為的な汚染物質の混入防止が義務づけられており、PFOSおよびPFOAの合算値が同様に0.00005 mg/L以下であることが求められる。特に炭酸ガス圧が高い製品については、この数値を参考にした自主的な低減措置が望ましいとする。
また、ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水については、水道水またはミネラルウォーター類の基準を満たす水を原料に使用することが義務づけられているため、清涼飲料水自体にはPFOS・PFOAの規格は設定されていない。
食品製造用水についても、摂取されることを目的としないことからPFOS・PFOAの規格基準は設定されていないが、使用事業者に対し自主的な管理と基準値を参考とした低減措置が推奨されている。
一方、PFOS・PFOA以外のPFASについては、現時点では科学的知見が不十分であるとして、基準値の設定は見送られている。
PFAS(有機フッ素化合物)は強固な炭素-フッ素結合を有し、分解されにくく環境中に残留しやすい性質を持つ。PFOS・PFOAはその代表的な物質であり、過去には消火剤や金属加工剤、フッ素ポリマー製造などに広く使用されてきたが、現在は製造・輸入が原則禁止されている。
これらの規制強化に関しては、食品安全委員会が科学的知見に基づき耐容一日摂取量(TDI)を設定し、その評価結果に従って消費者庁が規格値を定めたとしている。