パラミロン研究会、第3回学術集会をオンラインで開催
藻類のユーグレナにおける特異成分である多糖β‐グルカン「パラミロン」の多面的な研究を行う「パラミロン研究会」(矢澤一良会長)は9日、第3回学術集会をオンラインで開催した。
2020年度の学術集会の最後となる今回のテーマは「糖・脂質代謝とパラミロン」。食物繊維の研究、特に内臓脂肪型肥満の改善に関する分野で活躍する大妻女子大学教授、パラミロン研究会副会長の青江誠一郎氏が最新の研究成果を紹介した。
まず、内臓肥満のモデルマウスを被験体にパラミロンとバイオマスを投与した実験では、耐糖能改善作用の有効性が確認されたほか、血清コレステロール値もパラミロン量に依存した低下がみられたという。「今までにない作用機作としては、バイオマス中のパラミロンの脂質代謝、糖質代謝改善作用は、栄養素の消化吸収を抑制したものでなく、腸内細菌叢の変動による効果でもないことが示された」と語った。
次に用量反応試験では、パラミロン摂取によって用量依存的に糖代謝改善や血清LDLコレステロール濃度の低下効果がみられたほか、脂肪酸代謝に重要な役割を担うPPARαの発現量が高まり、糖質・脂質代謝の改善効果を発揮する可能性が示唆されたと報告。さらに回腸および肝臓の遺伝子発現に及ぼす影響をみるマイクロアレイ解析では、パラミロンは回腸に直接作用し、門脈を介して肝臓とクロストークしたことが推定されるとした。
これら3つの実験結果を踏まえて青江氏は「糖や脂質代謝に影響するユーグレナグラシリス中の有効成分はパラミロンである」と結論付けた。さらに「最新の文献でもパラミロンは消化管に直接作用して肝臓の脂質代謝の可能性を示唆しており、この仮説を検証していきたい」と、今後の研究の継続にも意欲を示した。
【堂上 昌幸】