1. HOME
  2. 学術トピックス
  3. ナトリード、認知機能の新成分なるか 第一工業製薬、ヒト試験結果を論文発表

ナトリード、認知機能の新成分なるか 第一工業製薬、ヒト試験結果を論文発表

 「ナトリード」という成分を含む冬虫夏草の継続摂取で認知機能が改善される可能性のあることが、健常者などを対象にしたヒト試験(RCT)で確認されたと第一工業製薬㈱(京都市南区)がこのほど発表した。視覚記憶力や認知機能速度などに有意な改善が見られたという。この冬虫夏草について、RCTで脳に及ぼす働きが示唆されたのは初めて。

 冬虫夏草はキノコの一種で、この試験に用いられたのは、国産カイコの幼虫やサナギを培地として、野外で採取した冬虫夏草菌(ハナサナギタケ)を培養、育成して収穫したもの。この冬虫夏草にはナトリードという環状ペプチドの一種が含まれていて、この成分には、認知機能や記憶力に関わる神経細胞に及ぼす働きのあることが、これまでの研究で分かっていたという。

 同社は、工業用薬剤などを製造・販売する化学品メーカーで、直近業績を見ると、売上高は約620億円(2022年3月期)。18年、医薬品や健康食品などの原材料の受託製造を手がける池田薬草㈱(徳島県三好市)と、カイコや桑などの機能性研究を行うベンチャー企業、㈱バイオコクーン研究所(岩手県盛岡市)を完全子会社化しグループに迎え入れ、ヘルスケア(ライフサイエンス)事業に新規参入していた。ナトリードは、バイオコクーン研究所が発見、命名したもので、同社で商標登録している。

 今回のヒト試験結果は、すでに論文にまとめており、先月、日本脳サプリメント学会(阿部康二理事長=国立精神・神経医療研究センター病院長)の学会誌「脳サプリメント」に掲載された。同学会が今月22日開催する学術大会でも発表する予定。

 同社では、ナトリードを含むカイコハナサナギタケ冬虫夏草を配合した健康食品や原材料の販売を行っていて、今回のヒト試験を含む一連の研究成果を背景に、機能性表示食品の届出に向かうことにしている。将来的には、認知機能以外の領域でも、ヘルスクレームを行えるようになる可能性もある。今のところモニター試験の結果にとどまるが、睡眠の質の改善などについて、有効性が示唆されているという。

 同社の発表によれば、ナトリード含有カイコハナサナギタケ冬虫夏草の摂取に伴う認知機能に及ぼす有効性を検証した今回のヒト試験では、40代以上の健常者とMCI(軽度認知障害者)の計90人を対象に、プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を実施した。ナトリード含有カイコハナサナギタケ冬虫夏草摂取群として2群(高用量群:ナトリードとして1.92mg、低用量群:同0.96mg)、そしてプラセボ群の3群に分け、それぞれ12週間摂取してもらい、Cognitrax(認知機能検査)などを指標に有効性を検証した。その結果、摂取12週後、低用量群について、視覚記憶力、認知機能速度、運動速度の3機能について、プラセボ群と比較し有意な改善が示されたという。

【石川 太郎】

関連資料:第一工業製薬が発表した論文「Effect of Naturido on the cognitive function improvement in healthyvolunteers and subjects with mild cognitive impairment: A randomized, double-blind,parallel-group comparison study.」(健常者および軽度認知障害者に対するナトリード含有食品の認知機能改善効─プラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験─)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ