ドームの禁止物質含有サプリ、JHNFA-GMP認定工場で生産
<「cGMPではない」国内工場>
世界アンチ・ドーピング機構(WADA)指定の禁止物質が検出された(株)ドーム(東京都江東区、安田秀一代表)のサプリメント『アイアンスーパープレミアム(SP)』が、(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)の健康補助食品GMPと米国NPA食品GMP認証を取得した工場で生産されたことが26日、同社への取材でわかった。
同社では、同製品の生産工場は国内にあり、JHNFA-GMPと米国NPA食品GMPの認証を取得しているが、「(米国)cGMPではない」と説明。サプリメントなどの食品を製造し、「医薬品を製造している工場ではない」と話している。
また同社によると、禁止物質が検出されたことについて、同製品を提供しているアスリートや、契約している読売巨人軍にも連絡したという。読売巨人軍では、選手に栄養補給をアドバイスする際に推奨されるサプリメントの1つとしてドーム製品がある。選手が自由に選択するが、詳細については「契約上非公開」としている。
問題が発覚した同製品については、LGC社のインフォームドチョイス認証の取得を予定していた。
【解説】
スポーツサプリメントのアンチ・ドーピング対応について、ウェルネスニュースグループはこれまでの報道で、ドーピング違反のリスクを少しでも低減させるための取り組みを指摘してきた。
最低限の取り組みとして、(1)禁止物質を分析した製造ロット番号が公開されている当該ロットの製品を選択、(2)米国cGMP認定工場で製造された製品を選択――の2つの要件を満たすことが重要とみられる。ただし、日本の健康食品GMPよりも厳しい要件が求められる米国cGMPであっても、「安全」を保証できるわけではない。
さらに、アンチ・ドーピングの「認証マーク」が当てにならないことも、重要なポイントとして挙げられる。認証マークが付いていても、使用する製品の製造ロットが分析対象でないことも多く、認証マークだけで商品を選択すると、大きなリスクを伴うと考えられる。
取材でドームは、3つの製造ロットについて分析を依頼したところ、そのうちの1つから禁止物質が見つかったと説明している。今回の案件のように、禁止物質が検出される製造ロットと、そうでない製造ロットがあるため、全ての製造ロットを分析した製品、または、分析した製造ロットの製品を選択することが、アスリートにとって最低限必要な取り組みとなる。