ドーピング違反で沢井製薬を提訴、第1回弁論開く
<PL法上の欠陥が争点に>
レスリングの阪部創選手(自衛隊)が、ドーピング禁止物質のアセタゾラミドが混入した医療用胃腸薬を製造販売した沢井製薬(株)と(株)陽進堂を相手取って起こした裁判の第1回口頭弁論が15日午前、東京地裁で開かれた。
原告側は、慰謝料を含む約6,000万円を2社が連帯して支払うように求めている。一方、被告側の代理人弁護士は「網羅的に認否反論したい」と争う姿勢を見せ、「(製品の欠陥について)追加資料があれば早めに提出してほしい」と要望した。
閉廷後、原告側の代理人弁護士は取材陣に対し、「答弁書で、沢井製薬は薬機法上の調査義務はなく、製造物責任はないと否定。陽進堂は責任の範囲外と主張し、製薬メーカーの責任ではなく、国やJADA(日本アンチ・ドーピング機構)などの責任であると主張している」と話し、製造物責任(PL)法上の欠陥が争点になるとの見解を示した。
<選手は準優勝の成績を失効>
阪部選手は2018年6月14~17日に開催された全日本選抜レスリング選手権大会男子グレコローマンスタイル77kg級で準優勝の成績を収めたが、決勝戦後のドーピング検査で、ドーピング禁止物質のアセタゾラミドが検出された。
そのため、8月16日に暫定的資格停止処分が下された。今年2月15日、分析機関から胃腸薬にドーピング禁止薬物が混入していた旨が報告された。聴聞会で、阪部選手には過誤も過失もなかったことがわかったが、準優勝の成績は失効となった。
阪部選手は10月8日付で、沢井製薬と陽進堂を相手取り、東京地裁に提訴した。胃腸薬はドーピング禁止薬物のアセタゾラミドを含み、そのことが表記されていなかったことから、PL法上の欠陥があると主張。また、原薬の受け入れ段階で適切な調査や検査を行わず、アセタゾラミドが混入した胃腸薬を流通させたと指摘し、不法行為責任の「過失」が認められると主張している。