ジャーナリストや研究者が機能性表示食品をテーマに討論
日本臨床栄養学会総会・日本臨床栄養協会総会の第16回大連合大会で、機能性表示食品制度をテーマとしたパネルディスカッションが6日、都内で行われた。
パネラーとして、消費者庁食品表示企画課の赤崎暢彦課長、東京農業大学応用生物科学部栄養科学科教授の清水誠教授、科学ジャーナリストの松永和紀氏が参加。座長は日本健康食品規格協会の池田秀子氏らが務めた。
東京農業大学の清水教授は、機能性表示食品について「科学者が苦労して出した研究成果の出口が広がった点で、制度の導入はよかった。ただし、エビデンスの信頼性に疑問もある」と指摘。「きちんとしたシステマティック・レビュー(SR)を実施している製品は、トクホよりも信頼性が高いと思っているが、それがいい加減だと何にもならない」とし、制度が抱える問題点を突いた。
科学ジャーナリストの松永氏は、「トクホ制度は今の時代に合わなくなっている。一方、機能性表示食品制度は情報を公開し、消費者が自分で判断して選ぶという時代に合った制度である」と両制度を総括。その一方で、機能性表示食品制度については「このレベルのエビデンスで機能性をうたってもよいのかと思う届出も多い。結果が良すぎる1報の論文のみで機能性を認めてよいのかという素朴な感覚がある。そうした問題を整理しないと、制度が持たないと思う」と警鐘を鳴らした。
また、消費者庁の赤崎課長は、パネラーから寄せられた「届出撤回の理由を整理して開示できないのか」という質問に対して回答。「複数の理由がある場合、届出制の趣旨を考えると、明確に誤りでない限り、(全ての理由を開示するかどうかは)事業者の判断にならざるを得ない」と説明した。