ジャパンライフ、最後の債権者集会 集会後の記者会見で被害弁護団が報告「配当率は1.2%」
「最後配当1.2%が可能となった」
被害者弁護団代表の石戸谷豊弁護士は会見会場で発表。「評価できる配当率」と自負した。しかし、2018年3月の破産決定から実に5年の歳月を経た遅い決定だった。
巨額詐欺事件ジャパンライフの最後となる第10回債権者集会は22日午前、東京地方裁判所目黒庁舎で開催し、20人弱が参加した。集会後の記者会見は午後、東京地方裁判所(司法記者クラブ)で開かれた。石戸谷代表が「声明」を読み上げた。
山口隆祥の資産隠しで手続き長引く
「これが最終の債権者集会になる」
冒頭、石戸谷弁護士はそう発言し、手続きが長引いた原因を説明した。2020年10月、ジャパンライフの元会長・山口隆祥被告の資産隠しが発覚。倉庫に隠していた資産6,000万円をめぐり、妻が自分のものだと異議訴訟を提起した。
「山口は破産手続きの中では隠し通して、管財人の業務に協力せず、むしろ妨害した。あげくに妻がそれは私のものだと争って破産手続きが長期化した」と同弁護士。ジャパンライフは業務停止処分に従わずに営業を続けた悪質な業者と非難。現在、このような悪質事業者に対し、解散命令で法人格を剥奪して早期にこの被害救済手続きに移ることができるようにすることが必要だと強調した。
結局、6,000万は破産管財人が山口氏の破産事件の財団として回収。そのうち、債権届を出しているジャパンライフの取り分を差し引いた2,950万3,634円が債権として計上されたことで、債権が確定した。債権数は約6,550件。
総額18億5,000万円、配当は6月にも
事務局長を務める大迫恵美子弁護士が、債権者集会における管財人の報告について説明した。
当日の配布資料「収支計算書(破産)」によれば、通帳残高は20億7,523万381円。これが、ほぼ配当に回る金額。配当は、財産目録「負債の部」にある1「財団債権(公租公課)」、2「財団債権(労働債権その他)、3「優先的破産債権」、4「普通破産債権」だが、1と2はすでに支払済みで、残りは3と4ということになる。20億7,523万381円から、優先的破産債権の額評価額を差し引いた18億5,377万3,716円。この数字を4番目の評価額1,529億2,244万9,156円で按分割した数字、約1.2%を配当率とする。配当金の送金は6月中を見込んでいる。
今回の配当について石戸谷弁護士は、「消費税の還付金22億2,670万5,770円が大きく寄与した」と付け加えた。
訪販消費者救済基金1339件のうち承認わずか17件
また、「訪問販売消費者救済基金」に関する報告も行った。同基金は、訪問販売の契約を解除したのに代金が返還されない場合に(公社)日本訪問販売協会がこれを保障する制度。
事業者から弁済を受けられない場合、基金に被害救済の申し出ということで申請しれば1契約当たり100万円を限度に支給される。
今回、全国各地の17弁護団で1,388契約を申請したところ、1,339件が不受理となり、受理された49件のうち32件が不承認となり、17契約950万2,340円が支給されることになったという。不受理・不承認の理由は不明とし、石戸谷弁護士は「納得いかない。今後、具体的に理由を明らかにするよう要請する」としている。
他にも、各地の集団訴訟の進捗や、消費者庁からジャパンライフの顧問に天下った元課長補佐M氏をめぐる裁判の現状、刑事事件の経過などについて詳しい報告が行われた。
来る9月14日、管財人が裁判所に「掲載報告書」を提出して幕を下ろす。
【田代 宏】
(以下、記者会見における配布資料)
(冒頭の写真:石戸谷弁護士(左から3人目)と大迫弁護士(同4人目))
〇これまでの経緯
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