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ジャニーズ「性加害問題」の波紋(5) キスマイの元メンバーがTOBEに移籍

 先月ジャニーズ事務所(東京都港区、東山紀之社長)を退所したKis-My-Ft2(キスマイ)の元メンバー・北山宏光氏が、エンターテイメント会社㈱TOBE(東京都八王子市、滝沢秀明代表)に合流した。17日、北山氏本人がYuTubeチャンネル「TOBE OFFICIAL」を通じて現在の心境や今後の方針について語った。TOBUは元ジャニーズ事務所所属のタレント滝沢氏が今年3月に立ち上げた芸能事務所。

コーセーが公式サイトで見解

 ㈱コーセー(東京都中央区、小林一俊社長)は15日、「ジャニーズ事務所に対する当社の対応について」を同社の公式サイトで公開した。そこでは、ジャニーズ事務所が「被害者の補償とガバナンス確立」、「所属タレントやスタッフの救済」の2つを明確に分離し、並行して進めることができる状態にすることが重要とし、同事務所のスタッフやタレントが活動の場を失う状況について懸念を示した上で、その救済策について同事務所に強く要請していくと記している。
 また、「他社への移籍」、「ガバナンス体制の整備された別組織の設立」などの方策によって対応すべきとの具体的な救済策も示しており、適切な対応が図られたタレントについては今後、同社がCMに起用する可能性を示唆しているかに捉えられる。

 同社は、編集部が取材した12日当時においては、「今後事務所が行う改革や取り組みをしっかりと確認しながら適切に対応する」などと、通り一遍の回答に終始したが、時を経て、その態度をさらに明確に示した格好だ。

児童福祉法違反は明白、事務所も✖ 

このように、日々刻々と情勢は動いている。昨日の方針も今日変わることがあり得る。企業各社の回答も、ジャニーズ事務所の会見が行われた今月7日直後よりもスピーディーになっている印象だ。他方、具体的な対応策については周囲の動静、世論を探りながら方針を固めるという駆け引きも見え隠れし、似通った回答も増えてきた。
 各社とも、10月2日に行われる予定の同事務所の新体制に関する詳細な発表を見守る構えなのかもしれないが、故ジャニー喜多川氏と共に、同事務所が過去において児童福祉法(第34条1項6号、60条1項)を犯していたという事実にしっかりと向き合った方がよいのではないか。同法では、個人だけではなく法人にも責任があるとする両罰規定を設けている。もはやこれは「ジャニーズ問題」というよりも、「ジャニーズ事件」だと認識を改めた方がよさそうだ。東山社長自身、先の会見では「人類史上最も愚かな事件」と認めているのだから。

ハウス「注視」、エバラ「更新せず」

 『バーモントカレー』のCMに櫻井翔さんを起用しているハウス食品グループ本社㈱(東京都千代田区、浦上博史社長)は取材に対し、「性加害は、当社グループの人権尊重の方針から容認できないもの。被害者への誠実な対応と救済など、今後のジャニーズ事務所の取り組みを注視している」と話している。

 調味料メーカー・エバラ食品工業㈱(神奈川県横浜市、森村剛士社長)は、「黄金の味シリーズ」のCMで相葉雅紀さんと契約している。同社は先週、ロイターの取材に対して「当初からの計画で現在はCMを流す予定はないが、今後どうするか検討する」と回答していた。
 その後の動きについて同社広報室は、「今後、ジャニーズ事務所との契約の更新は行わない」方針を固めたという。15日、ウェルネスデイリーニュースの取材に答えた。

 焼肉のたれ「黄金の味シリーズ」は季節限定品。通常、ゴールデンウィークや夏休みなど焼肉の消費が増えるバカンスの時期に集中してCMを流す。今年は8月20日までに集中的に展開し、30日にドラマ枠で流したのが最後のCMで、暫く休みに入るという。
 先のことは未定としながらも、性被害者への補償や防止策への取り組み、ガバナンスの徹底が図られなければ将来的にも検討の余地はないとしている。

(つづく)
【田代 宏】

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