著名な芸能人による暴露が相次ぐなど、故ジャニー喜多川氏による性加害をめぐる波紋は収まる様子がない。ジャニーズ事務所はきのう（13日）、「故ジャニー喜多川による性加害問題に関する被害補償及び再発防止策について」とする被害補償・再発防止策をホームページ上で公表した。

　被害補償については「被害者救済委員会」を設置する、「金銭補償」においてウェブフォームによる性被害者に対する受付窓口を設置するなどとしている。
　また、再発防止策については「チーフコンプライアンスオフィサー（CCO）」を設置し、人権に対する基本方針の策定と実施、その内容を含めた社内規程整備を行うとしている。社員やタレントに対して研修を実施するとともに、社外取締役の監視体制を機能させながらガバナンス強化を図る。メディア関係者・広告クライアントとの対話を通じて再発防止を強化していくとしている。

　同事務所とCM契約を結ぶ事業者への一連の取材では、いったん契約を解除するという企業と、ジャニーズ事務所の今後の出方次第とする企業の2通りの選択に分かれる。またその中でも、同事務所に向き合う姿勢のあり方は濃淡さまざまといった印象を受ける。前述の「被害補償・再発防止策」について、関係者の関心の的はまさにこれから、その実効性いかんに集まっている。

　「フェットチーネグミ」シリーズで松村北斗さん（SixTONES）をCM起用している㈱ブルボン（新潟県柏崎市、吉田康社長）は契約について、「広告計画に則り契約満了をもって終了する」と書面で回答。今後の起用については、「ジャニーズ事務所の補償対応、再発防止策の策定・実施状況などをみて判断する」という。その判断基準について同社は、「被害者への補償、現在の所属タレントの保護、再発防止策の策定・実施状況などをもって総合的に判断する」と話している。

　「KATE（ケイト）」の口紅『リップモンスター』で、Sexy Zoneの中島健人さんを起用していた㈱カネボウ化粧品（東京都中央区、前澤洋介社長）は、花王グループの一員として「花王の決定に従う」としている。花王は12日に方針を決定し、「ジャニーズ事務所所属タレントを起用した広告・販促物等の展開は、可及的速やかに中止。ジャニーズ事務所とのタレント契約については、今後、ジャニーズ事務所が行う改革や再発防止の取り組みを確認した上で判断する」と発表している。

　一方、『ジキニンFirst NEO』のCMになにわ男子の大橋和也さんを起用している全薬ホールディングス㈱（東京都文京区、橋本弘一社長）は、同事務所に対する今後の措置について「回答は差し控える」としている。

　森永製菓㈱（東京都港区、太田栄二郎社長）は、櫻井翔さん『ｉｎゼリー』、関ジャニ∞『チョコモナカジャンボ』、『バニラモナカジャンボ 』、なにわ男子『ハイチュウ』、大橋和也さん『カレ・ド・ショコラ』と、多くのジャニタレを起用しているが、今後の対応については「現時点で決まっていることは何もない」と白紙状態にある。

　そんな中、本日14日限りでCMを中止するという強い姿勢で臨んでいるのがサッポロ一番で知られるサンヨー食品㈱（東京都港区、井田純一郎社長）だ。同社の『サッポロ一番　みそラーメン』は今年55周年を迎える大人気商品。周年記念として『サッポロ一番　ひとてま荘　渾身のみそ』、『サッポロ一番　減塩』のテレビCMにKis-My-Ft2を起用し、『――渾身のみそ』が7日にオンエア、『――減塩』が8日にオンエアしたばかりだった。
　Kis-My-Ft2のメンバーが額に汗しながらラーメンを作るという凝った趣向のCMだっただけに、無念この上ないことだろう。

（つづく）
【田代　宏】

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