（公社）経済同友会の新浪剛史代表幹事はきのう（12日）の記者会見で、「ジャニーズ事務所の対応は不十分」と発言した。「同事務所のタレントを（CMなどに）起用することはチャイルドアビューズ（子どもへの性加害）を企業が認めるということであり、国際的に非難の元になるとし、対応が真摯な反省の下に行われているのか大変疑わしい」と強い懸念を示した。新浪氏はサントリーホールディングス㈱の社長も務めており、同社は11日、「事務所から納得のいく説明を受けるまでは新たな契約は結ばない」との厳しい姿勢を打ち出している。
　ジャニタレと企業のCM契約をめぐる報道は連日、世間を賑わせている。きのうも第一三共ヘルスケアや伊藤ハム、日産自動車などの大手企業の方針が一部マスコミで明らかにされている。

　小瀧望さん（ジャニーズWEST）、Aぇ! group、中島健人さん、20th Century（トニセン）らを起用している花王㈱（東京都中央区、長谷部佳宏社長）はきのう午後、同社の方針を決定、発表した。
　「性加害の問題は、花王人権方針の基本的な考え方に反する。また、ジャニーズ事務所所属タレントを起用した広告などにより、さまざまな思いを抱く人もいると考える」とした上で、「花王グループで現在展開しているジャニーズ事務所所属タレントを起用した広告・販促物等の展開は、可及的速やかに中止。ジャニーズ事務所とのタレント契約については、今後、ジャニーズ事務所が行う改革や再発防止の取り組みを確認した上で判断する」としている。
　つまり、CMや販促物についてはできるだけ早い時期に中止する。ただし、タレント契約については直ちに解約することはせず、ジャニーズ事務所の今後の取り組みを確認した上で判断するというもの。「可及的速やかに」の時期、「契約の途中でも解約する可能性があるのか」について編集部が確認したところ、明らかにできないとしている。

　クレンジングブランドで松本潤さん、シャンプー・トリートメントブランド『ジュレーム』で目黒蓮さん（Snow Man）、『米肌』でキャンジャニ∞を起用、またグループ会社㈱アルビオンの美容液『フラルネ』で渡辺翔太さんを起用している㈱コーセー（東京都中央区、小林一俊社長）は編集部の取材に対し、「ジャニーズ事務所が行う改革や取り組みを注視。必要に応じて詳しく説明を求めるなどして対応する」と話している。

　食用油のCMに二宮和也さん、城島茂さん、西畑大吾さん(なにわ男子)を起用している日清オイリオグループ㈱（東京都中央区、久野貴久社長）は、「事務所会見で発表された新体制下における性被害者の皆さまへの真摯な謝罪と救済・補償対応、再発防止策の実現に向けた活動を確認し、改めて検討する」と述べている。

　「ベープ」ブランドでTOKIOをCM起用しているフマキラー㈱（東京都千代田区、大下一明社長）は取材に対し、「人権尊重の姿勢を打ち出している」とした上で、「性被害はあってはならないことと考えている。記者会見で発表されたとおり、被害者の救済、風土改革、ガバナンス強化を行うことを強く期待しており、その推移を注視する。それらを踏まえて真摯に協議、多角的に検討していく」という。

　相葉雅紀さん（湖池屋プライドポテト、濃いじゃが、The 素材のご馳走）と中島健人さん（湖池屋プライドポテト、スコーン）を起用している㈱湖池屋（東京都板橋区、佐藤章社長）は編集部からの質問書に対し、「広告契約の内容については回答を控える」とメールで応じた。

（つづく）

【田代　宏】

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