サプリ横断的GMP義務化、可能性あるか 【特集 日本のサプリGMPを考える】「3.11通知」の存在感大きく
2026年9月、機能性表示食品のうちサプリメントのGMP義務化が完全施行される。その基準をまとめた法令はすでに公布。それを製造する事業者は、基準に対して不足があれば、完全施行日までに出来る限り補っておく必要がある。しかし、全ての責任を負うのは届出者だ。製造・品質管理は、原材料事業者やOEMメーカーに「お任せ」は通用しなくなる。なにもそれは、機能性表示食品のサプリに限らないのかもしれない。
薬害背景に生まれたGMP
「GMP(Good Manufacturing Practice)」とはそもそも何か。広義の意味では、製造する製品の品質を確保し、その製品の品質を保証するための手段などと説明される。生体に対する機能性(生体調節機能)を訴求するサプリでいえば、科学的な裏付けのある安全性と機能性が品質で、それを確保するための手段がGMPということになるだろう。その発祥の地は、1960年代の米国とされる。背景には、医薬品の薬害問題があった。
1950年代から60年代初頭にかけ、胎児に対する被害を世界中で引き起こした「サリドマイド」薬害事件。日本でも約1,000人が被害にあったとされる。この事件をきっかけに、1962年、米国で成立したのが「キーフォーバー・ハリス医薬品改正法」。医薬品の安全性と有効性の確認に関する規制強化を図るため、医薬品製造に対するGMPの遵守規定が盛り込まれた。これを受けて米FDA(食品医薬品局)は翌63年、医薬品製造に関するGMP規則を公示。医薬品の品質確保に求められる設備をはじめ生産管理や品質管理などの基準を定めた。これが世界初の医薬品GMPの法制化であったといわれる。
GMPは、日本では「適正製造規範」と訳されたり、法令用語では「製造管理及び品質管理に関する基準」と呼ばれたりする。日本に初めて導入されたのは1976年だった。
69年、WHO(世界保健機関)が医薬品貿易におけるGMPに基づく証明制度を採用、実施するよう加盟国へ勧告したのを受け、医薬品製造にGMPを導入する動きが世界的に広がっていった。この流れに日本も乗り、76年4月、厚生省(当時)が局長通知として発出した「医薬品の製造及び品質管理に関する基準」に基づく行政指導が始まった。
その後、80年、通知を法令に引き上げるかたちで、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(医薬品GMP省令)が施行。省令への適合を医薬品製造業者の遵守事項に定めた。そして94年の省令改正で省令への適合を医薬品製造の許可要件、2005年には医薬品製造・販売の承認要件としてそれぞれ定めていった。GMP基準通知の発出から法令化、製造・販売承認要件化までのステップを踏んでいくのに、およそ30年の歳月を費やしたことになる。
日本のサプリGMP、初登場から20年
では、日本の健康食品市場にサプリメントGMPが初めて導入されたのはいつか。実は2025年は導入20年目の節目の年にあたる……
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