サプリ市場参入、意気込み語る
小野薬品ヘルスケア社長「脂質の力で健康に寄り添う」
睡眠ケアを訴求する機能性表示食品のサプリメント『REMWELL(レムウェル)』を14日から通信販売で発売した小野薬品工業㈱(大阪市中央区)の100%子会社、小野薬品ヘルスケア㈱(同)。同日午前、新商品発表会を都内とオンラインで開催。登壇した野田康成社長は、「我われ(小野薬品グループ)の研究資産である脂質研究、脂質の力で健康に寄り添いたい。医薬品ではなく食品から健康になっていただくことが我われの社会的使命だと思っている」と、グループとして初めてサプリメント事業、B to C事業に進出するに当たっての意気込みを語った。
機能性脂質を軸に第2、3弾商品も検討
小野薬品ヘルスケアは、レムウェルの発売に当たってサプリメントブランド「Lipid-supply(リピドサプリ)」を立ち上げた。「現代人に不足しがちな良質な脂質を効率的に摂ることで、人間本来の健康なカラダを目指す」ことをコンセプトにしたブランド。発表会で野田社長は、同ブランドの今後について、「さまざまな機能性脂質を研究し、臨床試験を行い、製品化する方向で考えている。詳細は差し控えるが、5商品ほどを中心にブランドを展開していきたい」と述べ、第2、第3弾商品の構想がすでにあることを示唆した。
小野薬品グループとして初のサプリメント事業を展開するに当たり、アピールポイントとするのは、「医薬品分野で実績を重ねてきた脂質研究のパイオニア」であることだ。がん治療の新薬「オプジーボ」で知られる製薬企業らしく、有効成分の研究開発力や技術力などをアピールすることで、サプリメント市場での存在感を高めていく狙いとみられる。
第1弾商品のレムウェルは、イクラオイルおよび深海サメ肝油に含まれる脂質(DHA、EPA、ジアシルグリセリルエーテル)を機能性関与成分にしたもの。水産物由来機能性食品素材の製造販売を手掛ける水産加工大手のマルハニチロ㈱(東京都江東区)と共同開発した。
イクラオイルにはリン脂質が多く含まれる。その点で魚油に含まれるDHA、EPAとの差別化を図る。同社では、イクラオイルに含まれるリン脂質結合型DHAを「睡眠DHA」などと名付け、発売開始と同時に開始した同商品のウェブ広告などでアピールしている。
当面は通販のみで需要開拓 初年度販売目標は「非公開」
小野薬品ヘルスケアでは、レムウェルの初年度販売目標額について「非公開」(野田社長)として明らかにしていない。また、通販以外に調剤薬局やドラッグストアなどでの店頭販売を行うことは「予定していない」(同)としており、当面は自社オンラインショップやAmazon等のECモールを介した通販のみで需要拡大をめざすことになる。それに合わせ、販売プロモーションについても、主にデジタルメディアを活用していく予定だ。
販売ターゲットは「主に40~50代の働き盛り」だと野田社長は述べた。販売価格(通常価格)は30日分(180粒)で税込み7,020円と、やや高価格帯。「お試し品」として15日分、通常価格3,510円も販売し、トライアルユーザーの獲得を図る。
【石川太郎】
(冒頭の写真:新商品発表会で講演する小野薬品ヘルスケア野田社長)