コロナの真相(24)~ようやく実施されるコロナ対策の改善
(公財)食の安全・安心財団理事長 東京大学名誉教授 唐木英明
●コロナ対策の大きな転換を意味するニュースが流されたので、その重要性について解説する。
●昨年初め、政府はコロナを感染症法上2類扱いにして、無症状を含むすべての感染者は入院を基本にした。しかし感染者の増加と共にわずかな数のコロナ対応病床は満床になり、医療崩壊の危機が叫ばれた。にもかかわらず、病床の増加が進まないため、例外的に軽症感染者の自宅やホテル療養を認めてきた。
●菅総理はこの方針を大幅に変更して、中等症以下の感染者は自宅療養を原則にしたのだ。この措置で無症状~中等症が占めていた多数の病床が空き、重症やリスクが高い人がすぐに入院できる体制ができる。こんなことはずっと前にやらなくてはならなかったのだが、2類扱いの縛りと、コロナは恐ろしい感染症だから入院が当たり前という「常識」がその実現を妨げていた。菅総理の決断は高く評価される。
●そんなことをしたら自宅で死ぬ感染者が増えるじゃないか!
野党は早速そんな批判を始めた。しかしそれは逆だ。病床に余裕ができれば必要な人はすぐに入院できる。総理はまた、最近承認され、重症化リスクを7割減らす効果がある抗体カクテル療法を在宅患者も使用できるようにすると明言している。そうなれば、コロナ患者の大部分は自宅療養で済むようになる。
●この措置で医療供給体制が正常化するだけでなく、入院先の調整でオーバーワークになっている保健所機能も改善する。コロナ対策を転換する大きな一歩である。
<著者プロフィール>
1964年東京大学農学部獣医学科卒。農学博士、獣医師。東京大学農学部助手、同助教授、テキサス大学ダラス医学研究所研究員などを経て東京大学農学部教授、東京大学アイソトープ総合センターセンター長などを歴任。2008〜11年日本学術会議副会長。11〜13年倉敷芸術科学大学学長。専門は薬理学、毒性学、食品安全、リスクコミュニケーション。
※「コロナの真相」は、唐木英明氏のフェイスブックからの転載です。