コロナの真相(19)~人流抑制の効果はほとんどない!
(公財)食の安全・安心財団理事長 東京大学名誉教授 唐木英明
〇コロナ対策は飲食店の時短と国民の外出自粛の2つしかない。それでは外出自粛(人流抑制)の効果はどのくらいあるのだろうか?
コロナの感染者数が人口密度と相関すること(左)と、最近の人流の傾向(右)からこの問題を考えてみよう。
〇感染者数と人口密度の対数が相関し、人口密度が1/10になると感染者数が約半分になる。人口密度は人間距離であり、人流と相関すると考えられる。東京の人口10万人当たりの感染者は約1,000人だが、これを千葉、埼玉並みの500人にするためには人流を1/10に減らす必要がある。
〇6月19日土曜日の盛り場の人流はコロナ発生前より約3割減っている。
ということは、東京の感染者数を15%程度減らすことが期待される、と言いたいところだが、感染する場所の8割は家庭と職場と施設であり、そこでの人流が3割減っているとは考えられない。人流と関係があるのは、感染場所の1割以下の飲食関係だろう。要するに、人流抑制も飲食店いじめなのだが、その感染防止効果はわずかなものなのだ。
●人流抑制の費用対効果も十分に検証せず、アリバイ作りの自粛要請で国民をいじめることは止めるべきである!
<著者プロフィール>
1964年東京大学農学部獣医学科卒。農学博士、獣医師。東京大学農学部助手、同助教授、テキサス大学ダラス医学研究所研究員などを経て東京大学農学部教授、東京大学アイソトープ総合センターセンター長などを歴任。2008〜11年日本学術会議副会長。11〜13年倉敷芸術科学大学学長。専門は薬理学、毒性学、食品安全、リスクコミュニケーション。
※「コロナの真相」は、唐木英明氏のフェイスブックからの転載です。