ゲノム編集食品表示、「義務化は困難」の声~消費者委・食品表示部会
消費者委員会食品表示部会(受田浩之部会長)は20日、ゲノム編集食品表示制度のあり方をテーマに集中審議を行った。同部会で寄せられた意見などを踏まえ、消費者庁は今夏をめどに表示ルールを整備する。
消費者庁の担当課は、遺伝子組み換えに該当しないゲノム編集食品と、従来の育種技術による食品を判別できる検査法の確立が困難と説明。表示を義務づける場合には、義務表示違反の食品を特定できる仕組みが必要とし、「ざるの制度は長続きしない」(食品表示企画課)との考え方を示した。
同部会の各委員からは、「ゲノム編集食品かどうかを識別するための科学的検証が困難なため、表示の義務化は無理」とする意見が相次いだ。消費者代表の委員は「届出が義務でないのに、表示を義務づけることはあり得ない。任意表示にならざるを得ない」と述べ、届出が事業者の任意となったことに不満を漏らした。学識経験者の委員は「科学的検証の可能性が大きなポイントとなる」と話した。
一方、「届け出た食品については表示させるべきだ」、「消費者の商品選択のために、トレーサビリティーによる対応などを考えてほしい」といった要望も聞かれた。
また、任意による表示制度となった場合、「ゲノム編集食品でない」旨の表示が消費者の誤認を招くと懸念する声も上がった。従来の育種技術による食品と比べて、安全性などで問題があると誤認させることから、「消費者庁がどう(表示ルールの整備を)進めるのかがポイント」などの消費者庁に慎重な判断を求める意見が寄せられた。
(写真:20日開催された食品表示部会)