ケルセチン普及へアクセル踏む インデナジャパンの23年、ヘルスクレーム拡充へ
植物エキスメーカーの世界的大手インデナ社(イタリア・ミラノ)。日本法人のインデナジャパン㈱(東京都千代田区)は今年、機能性表示食品対応素材「ケルセフィット(Quercefit)」の拡販に力を注ぐ。フラボノイドの一種、ケルセチンを機能性関与成分とするもの。現時点で届出可能なアレルギー領域のヘルスクレームを提案しながら、異なる領域にも展開できるようにする。他にも対応素材を増やし、機能性表示食品を拡充したい最終製品販売会社のニーズに応える。
抗アレルギー領域に続いて生活習慣領域
ケルセフィットは、関与成分となるケルセチンを40%以上含むインデナ独自のサプリメント向け原材料。マメ科植物エンジュの花と蕾を原料とする。
ケルセチン素材は一般的に、吸収性を高める目的で配糖体化される。だが、それをしないのがケルセフィットの特徴だ。天然物を活用しながら生体利用率を高める独自加工技術(フィトソーム)を活用し、糖が外れたアグリコン型のケルセチンのままでも効率よく吸収されるようにした。
機能性表示食品対応素材としての提案は昨春以降に本格化させた。
「本品にはケルセチンが含まれます。ケルセチンは、花粉、ほこり、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減することが報告されています」。ケルセフィットを配合した第1弾の機能性表示食品のヘルスクレームはそうしたもので、インデナジャパンで届出サポートを手がけた。研究レビューも同社で実施。足元では、花粉シーズンに合わせた届出準備が進んでいるという。
今年、ヘルスクレームを拡充させる。アレルギー領域の次に狙うのは生活習慣領域。食後の血中中性脂肪の上昇抑制機能を新たに訴求できるようにする考えだ。
研究レビューは昨年末までに終えており、1月中に届け出る予定。今年は、中性脂肪上昇抑制機能と鼻の不快感軽減機能の2機能を提案しながら届出実績を積み上げていく計画だ。
セノリティクス対応素材の認知高める
と同時に、以前から提案に力を入れている、セノリティクス対応素材としてのケルセチンの認知向上に取り組む。
セノリティクスとは、「老化細胞除去」などと邦訳されるアンチエイジング(抗加齢)に関わる新しい概念。加齢によって減少する細胞(正常細胞)を増やすのではなく、加齢に伴い増加して身体機能に悪影響を及ぼす細胞(老化細胞)を減らすことで健康維持・増進につなげる、というもの。
インデナジャパンによると、セノリティクスの概念を取り入れるかたちで開発されたサプリメントが米国で増えているといい、ケルセフィットを配合したものも複数ある、と話す。ケルセチンは海外で、セノリティクスに有用な成分の1つとして注目されているという。日本での認知はまだまだこれからだが、普及啓発を進めながら、新たな需要の掘り起こしを図る。
機能性表示対応素材を拡充へ 超臨界抽出のショウガエキス
一方、今年は機能性表示食品対応素材の拡充も進める。まずはショウガエキスを冷えケア領域に展開できるようにする。
インデナのショウガエキスは超臨界抽出法で生産される。このため原材料としての性状が、ショウガエキスで一般的な粉末ではなくオイルになっている。それを強みに、粉末状のショウガエキスでは配合が難しかった加工食品についても、冷えケアを訴求する機能性表示食品として開発することを可能にする狙い。
機能性関与成分はジンゲロールとショウガオール。現在、インデナジャパン独自に研究レビューを進めている。
同社は昨年、ショウガエキスと、ハーブのオランダセンニチ(Acmella oleracea)のエキスを組み合わせた新素材を発売した。
製品名は「ミティドール」。ジンゲロール・ショウガオールの他、オランダセンニチに含まれる辛味成分のスピラントール(アルキルアミド化合物)を規格したもので、関節ケア素材として提案している。「体感性と即効性」に優れると同社は強調しており、機能性表示食品に対応できるよう望む声も出てきそうだ。
【石川 太郎】
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事業内容:植物抽出物の製造・販売
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