ケフィア事件、現時点の配当利率「1.8%」
<第2回債権者集会を開催>
ケフィアグループ被害対策弁護団は21日、破綻した(株)ケフィア事業振興会の第2回債権者集会開催後に、都内で記者会見を開き、管財人により回収金額が約18億円と報告され、現時点の配当利率が1.8%と見込まれると説明した。前回は約30億円と報告されたが、今回の認定には消費税等還付金が含まれていない。
弁護団によると、刑事捜査中だが、管財人からは全て一般債権として報告されたという。破産財団が31者(28社、3個人)から回収した金額は、合計18億518万5,488円。消費税については、管財人が約19億円還付の更生を申告したが、税務署から「更生をすべき理由がない」と通知されたため、国税不服審判所長へ不服審査請求を行っていると説明した。
また弁護団は、同社が、資金が行き詰まりつつあった18年4月にケベッククラブ、6月に九州クラブを設立し、ケベッククラブでは約1億4,000万円、九州クラブでは1億6,500万円の資金を収集していたと報告。運用は機関投資家ではなく、仮想通貨事業へ投資していたことが判明したという。
<預託法見直しに関する意見書を提出>
弁護団は記者会見で、同日付で「預託法見直しに関する意見書」を消費者庁へ提出したと発表した。預託法を規制する新法の制定、特定商取引法の改正を要望。併せて、登録制による参入規制、投資取引という実態に即した広告規制、不招請勧誘の禁止、消費者庁による破産申立制度の導入などを求めている。
<事件の主な経緯>
事件の舞台となったのは、破綻した(株)ケフィア事業振興会(東京都千代田区、鏑木秀彌代表)が運営していた食品などの「オーナー制度」。
「オーナー制度」では、ヨーグルトやジュース、メイプルシロップといった商品を通販で購入した消費者に、「半年で10%の利益が付く」と告知。半年後の満期に、支払い代金の約10%の利子を加えた買戻代金が設定されていた。
しかし、17年12月28日に、買戻代金の振込が半年ほど遅れる旨が同社から通知され、18年5月になっても買戻代金は未払いのままだった。全国の消費生活センターには同社に関する相談が1,447件寄せられ、最高1億円をつぎ込んだ人もいたとみられる。消費者への未払金が少なくとも340億円に上ることから、消費者庁は18年8月31日、消費者安全法に基づいて国民への注意喚起を行った。
(株)ケフィア事業振興会など4社は18年9月3日、東京地裁から破産手続き開始の決定を受けたと発表(最終的には28社、3個人が破産)。負債総額は総額1,000億円超に上る大規模倒産となった。
18年11月27日には被害者13人が、1億7,567万円の損害賠償を求めて、ケフィア元代表らを提訴。19年2月には、鏑木秀彌氏の息子で、関連企業でグループの中核だったかぶちゃん農園(株)元代表の武弥氏が自殺した。19年5月に第1回債権者集会が開催された。
また、同事件やジャパンライフ事件を受けて、消費者委員会は19年8月30日、販売預託商法に関する法制度の検討を求めた「建議」を取りまとめ、消費者担当相と国家公安委員会へ提出するという動きもあった。
(写真:記者会見を行う弁護団)