1. HOME
  2. 機能性表示食品
  3. クリルオイルを女性ヘルスケア領域へ 原材料大手のアーケル・バイオマリンが意欲

クリルオイルを女性ヘルスケア領域へ 原材料大手のアーケル・バイオマリンが意欲

 リン脂質結合型DHA・EPAを含むクリルオイル。機能性表示食品対応素材でもある。現在届け出されているヘルスクレームは、膝の違和感軽減、記憶や注意力の維持の大きく2つ。そのなか、クリルオイル製造販売最大手のアーケル・バイオマリン社(ノルウェー)が可能な機能性表示をさらに広げようとしている。日本国内で行った臨床試験(RCT)結果を先ごろ、論文発表した。

課題は1日あたり必要摂取量

 アーケル社が日本国内で初めて行ったRCTで検証したのは、肌バリア機能に及ぼす影響。日本人成人男女を対象にしたもので、同社が製造販売するクリルオイル「SUPERBA Boost」を試験食品とした。試験期間は12週間。昨年設立された同社の日本法人、アーケル・バイオマリン・ジャパン㈱(東京都港区)のアネッテ・山本ハンセン社長は、試験結果について次のように説明する。

 「主要アウトカムにしたTEWL(経皮水分蒸散量)の変化量は、SUPERBA摂取群がプラセボ群より有意に低かった。TEWLを改善させて肌のバリア機能を維持する効果のあることが示唆されたことになる。興味深いことに、毛穴の状態改善も見られた。それに、オメガ3インデックス(赤血球中の総脂肪酸量に占めるEPAとDHAの割合)の変化量もSUPERBA摂取群はプラセボ群より有意に高値だった」

 以上の結果を踏まえ、アーケル社製のクリルオイルは近く、肌の保湿(うるおい保持)機能を訴求できるようになる──のかと思いきや、山本ハンセン社長は「検討しているところ」と歯切れが悪い。というのも、この結果は、1日あたり2,000mgを摂取することで得られたものであるためだ。同じ量を摂取できるサプリメントを商品化しようとすると1日あたり摂取粒数が多くなりすぎる。

 しかし諦めたわけではない。「実は、肌に対するSUPERBAの有効性を確かめるスタディ(臨床試験)が海外で3つも行われていて、1日あたり1,000mg前後でも効果が認められている。ただ、事業戦略上の理由があって、今のところ3つとも論文として発表されていない。論文発表されれば、2,000mg以下でもヘルスクレームを行えるようになる可能性がある」と山本ハンセン社長。現在、「本社と調整を進めているところ」だという。

フェムケア領域にも可能性 「エビデンスある」

 今後、現実的な摂取量で、肌に対するヘルスクレームを行えるようになると仮定する。では、その次のヘルスクレームは何になるのだろうか。クリルオイルには、DHA・EPAをはじめコリンなどのリン脂質、さらにはアスタキサンチンが含まれるだけに、さまざまな機能が報告されている。

 その中でも可能性が高いのは、フェムケア(女性のライフステージに則したヘルスケア)領域に展開できるヘルスクレームだ。例えば、月経前になると生じるPMSのケア。山本ハンセン社長はこう話す。

 「エビデンスがある。『Alternative Medicine Review』というジャーナルに論文が発表されている。現在はアーケルのグループ会社のクリルオイルメーカーが発表したもので、被験者アンケートや鎮痛剤の使用量を指標に有効性を調べた。いずれについても有意な結果が得られている。論文は未発表だがアーケルで行った臨床試験でも良い結果が得られている」

 PMSに対する機能を直接うたっているわけではないが、先ごろ、「正常な月経周期を有する健康な女性の月経前の一時的な晴れない気分、精神的疲労感、眠気を軽減する」旨のヘルスクレームが届け出された。アーケルは今、そういった女性に訴求できるヘルスクレームをクリルオイルでも実現すべく、準備を進めているという。

 「魚油の市場はすでにレッドオーシャン。そこで戦うのではなく、魚油に比べてとてもサステナブルであることや、女性のライフステージに合わせたヘルスケアに有用であることを訴えていきたい。肌に対する機能もアピール(表示)できるようになれば、クリルオイルは総合的に女性をサポートできる素材になる」と山本ハンセン社長は話す。

【石川太郎】

(冒頭の画像:アーケル社製クリルオイルを配合したソフトカプセル。日本法人ホームページから)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー 7F SPACES品川
URL:https://www.akerbiomarine.co.jp/
事業内容:クリルオイル原料の製造・加工・研究・販売等

関連記事
クリルオイル市場、日本に生まれるか 原材料大手が需要創出に本腰
クリルオイルの膝関節ケア機能、豪州研究機関が論文発表 アーケル社「スパーバ」を使用

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ