キユーピー、介護施設のBCP義務化に対応 「やさしい献立」シリーズの約6割を賞味期間延長
キユーピー㈱(東京都渋谷区、髙宮満社長)はこのほど、市販用介護食「やさしい献立」シリーズ全52品のうち、約6割にあたる31品の賞味期間を19カ月から25カ月に延長すると発表した。9月製造分から順次出荷を開始する。
同シリーズは、食べやすさに配慮した市販用介護食。やわらかくする必要がある介護食は、通常の食事に比べて災害時の確保が難しく、自然災害が多発する近年、同社では同シリーズを非常食として備蓄する提案を続けている。
介護施設においても、慢性的な人手不足やコロナ禍による一時的な人手不足への備えとして同シリーズの利用が広がっている。また、「令和3年度介護報酬改定」に伴い、全ての介護サービス事業者を対象に、感染症や災害発生時の業務継続に向けた計画等(BCP:Business Continuity Plan)の策定が義務化され(3年間の猶予期間)、介護現場では非常食を準備する動きが加速している。施設の非常食は、賞味期限の管理や定期的な入れ替え業務が必要になることから、購入後も長く保管できる商品が望まれる。
これまで同シリーズの賞味期間は、19カ月(すりおろし果実、とろみファインを除く)だったが、製造から購入までに数カ月を要した場合、備蓄できる期間が1年未満となるケースもあり、1年ごとに入れ替えを行う施設では採用しにくいとの声があったという。
同社で同シリーズの保存性について改めて検証したところ、31品で賞味期間25カ月への延長が可能となった。これにより、備蓄期間を1年以上確保できる可能性が大幅に高まることから、家庭向けだけでなく施設向けの提案を強化し、2024年の義務化に向けた介護現場のBCP対応をサポートする。
キユーピーグループは、事業を通じて取り組むべき社会課題を重点課題として特定し、それを指標とした「サステナビリティ目標」の1つに、「資源の有効活用・循環」を掲げている。資源の有効活用・再資源化など、さまざまなアプローチを進める中、「賞味期間の延長」は、商品の製造後、保管・輸送から、流通・販売、消費までの各段階における食品ロス削減につながる取り組み。
同社では、今後も介護食や育児食など、災害時の確保が難しい「配慮が必要な食事」への備えを提案するとともに、持続可能な社会の実現に向けて食品ロスの削減にも取り組むとしている。