ガンマオリザノールで届出第二弾
また届出表示に成分名なく
γ(ガンマ)-オリザノール(以下、オリザノール)を機能性関与成分にした機能性表示食品の届出が4月28日、公開された。
オリザノールは、食薬区分の専ら医薬リストに収載されている成分。機能性関与成分としての届出は2020年10月に続き2例目となる。
消費者庁は19年、食薬区分を所管する厚生労働省の担当課長通知を踏まえ、医薬品には該当しないなどの条件付きで、届出しようとする機能性関与成分が専ら医薬リスト収載成分である場合であっても届出を妨げないとする見解を公式に示していた。
今回、届出された食品は、オリザノールが含まれることで知られる米(こめ)油。北海道産農産物などの供給を手掛けるホクレン農業協同組合連合会(札幌市中央区)が届け出た。
前に届出されたのは発芽玄米(届出者:SBIアラプロモ㈱)だった。現在、販売されている。
前の届出と同様、今回も、届出表示(ヘルスクレーム)において、機能性関与成分名の明示が避けられた。ホクレンが届け出た表示は次の通り。
「本品には、血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されている成分を含みます」。
成分名なぜ隠す 誤認につながる可能性も
ヘルスクレームにおいて機能性関与成分の名称が具体的に記載されない機能性表示食品は極めて珍しい。こうした、成分名非開示型のヘルスクレームは、食薬区分の専ら医薬リスト収載成分を機能性関与成分にしたものに限られる。
オリザノールと同様に専ら医薬品リスト収載されている1-デオキシノジリマイシン(DNJ)の他名、モラノリンを機能性関与成分にした機能性表示食品でも、同様の対応が取られている。現在までに累計で3件の届出があるが、いずれもヘルスクレームにおいては成分名を伏せ、「桑由来の成分」と成分名を曖昧に説明している。
専ら医薬リスト収載成分に限り、ヘルスクレーム内で成分名を示さないのはなぜか。
最終的には届出者が自主的に判断したとみられる。ただ、ある届出者は、「医薬品成分が含まれると消費者に誤認される可能性を行政は懸念している様子だった」と話す。
確かに、機能性関与成分が専ら医薬リスト収載成分であることを過度に強調するような広告表示等が行われた場合、そうした誤認が生じる可能性はある。
一方で、行政とは別の見方もある。
「機能性関与成分名を明示しないのは消費者に対して極めて不親切。広告でも機能性関与成分に関する説明を曖昧にせざるを得なくなるから、届け出たのとは異なる成分に機能性が報告されているとか、成分ではなくその商品自体で機能性が確かめられているとか、消費者を誤認させる可能性がある」。
元健康食品通販会社幹部はそう指摘する。別の業界関係者も、「消費者の商品選択に資するのが機能性表示食品の目的のはずだ」とし、機能性関与成分が専ら医薬品リスト収載成分だとしても、消費者が商品の内容を正しく理解するために成分名をヘルスクレームにも表示できるようにすべきだとする。
専ら医薬リスト収載成分を機能性関与成分にした届出は今後も続く見通し。ヘルスクレームにおいて成分名を伏せるのと明示するのとでは一体どちらが消費者の合理的な商品選択に資するのか。議論の必要がありそうだ。
【石川 太郎】
(冒頭の画像:ホクレンが届け出た機能性表示食品の表示見本。画像は消費者庁届出データベースより。一部切り抜き)
関連資料(外部リンク)
〇ホクレンが届け出たオリザノール機能性表示食品の詳細
〇専ら医薬リスト収載成分を機能性関与成分として届け出る場合の考え方
厚労省:通知「『医薬品の範囲に関する基準』に関するQ&Aについて」
〇消費者庁:機能性表示食品に関する質疑応答集(問13参照)