カネカ、ヘルスケア分野の売上が13%増
㈱カネカ(東京都港区、田中稔社長)はこのほど、2021年3月期(20年4月1日~21年3月31日)有価証券報告書を更新した。売上高は対前年比4.0%減の5,774億2,600万円、営業利益は同5.9%増の275億4,400万円、経常利益は同9.4%増の220億6,600万円だった。
セグメント別では、Health Care Solutions Unitは、売上高が同13.1%増の524億2,200万円、営業利益が同28.2%増の114億3,600万円だった。Nutrition Solution Unitは、売上高が同3.2%減の1,523億6,800万円、営業利益が同13.6%減の48億7,900万円だった。
<Medical、Pharmaに期待>
Medicalが、コロナ禍で患者の治療頻度は減少したが堅調に推移した。ウェブ企画など新たなスタイルの販促活動に注力し、カテーテルの販売は国内・海外ともに増加。血液浄化器は海外の販売が拡大した。販売が好調な脳動脈瘤塞栓コイルが収益を押し上げ、3月にスタートしたASO治療用の新血液浄化器も市場の評価も高く、高付加価値ニッチ分野を担う武器として期待できるとしている。
Pharmaは、アビガン原液やカネカユーロジェンテックのPCR検査試薬とワクチン中間体の受託製造の受注が急拡大した。昨年秋に完成したカネカユーロジェンテックのバイオ医療増設ラインをフル戦力化し、収益拡大を果たすとしている。
<還元型コエンザイムQ10が好調>
Supplemental Nutritionは、還元型コエンザイムQ10の販売が大きく伸びた。AB-Biotics社の乳酸菌製品が欧州での販売が好調に推移。次の一手として、米国の生産販売体制を整備強化し、拡販力の向上を目指す。
Food&Agrisは、コロナ禍で国内のインバウンド需要減、外食産業低迷の影響を受けた。サプリメントチームと組み、還元型コエンザイムQ10を配合した『わたしのチカラ™Q10ヨーグルト』を発売した。また、『パン好きのミルクティー®』など本物志向の乳製品が好評を得ている。
同社では、DXによる製品の受発注や生産・販売管理など抜本的な再編、生産性の向上に最優先で取り組んでおり、今後、DX技術を最大活用し、収益性を大きく改善する事業インフラの構築を目指す。