オリザ油化、フコキサンチンに新たな知見
オリザ油化㈱(愛知県一宮市、村井弘道社長)はきょう(12日)、フコキサンチンにサルコペニア肥満の予防効果があることを発見したと発表した。立命館大学スポーツ健康科学部の橋本健志教授との共同研究によるもの。
肥満とサルコペニアが合併したサルコペニア肥満は、肥満やサルコペニアよりも、生活習慣病のリスクや寝たきりのリスクを増大させることが知られている。サルコペニア肥満は、脂肪の分解・燃焼促進、筋肉量維持の双方から改善する必要がある。同共同研究では、フコキサンチンにサルコペニア肥満の予防・解消に対する有用性があると考え、同社のフコキサンチン製品を筋萎縮モデルマウスに摂取させた際の効果を検証した。
実験では、デキサメタゾン(DEX)によって筋萎縮を誘発した筋萎縮モデルマウスにフコキサンチンを4週間継続投与した。結果、DEXによる前脛骨筋重量の減少がフコキサンチン投与によって抑制され、内臓脂肪重量の減少も認められた。
また、メカニズムとして、フコキサンチンがDEX投与による酸化ストレスマーカーのMDAや筋肉合成抑制に関わるAMPKの活性化を抑制し、サルコペニアと密接に関連するミトコンドリア関連タンパクのCOX4発現を増加することによって、筋萎縮を抑制することが示唆された。
研究の結果から、フコキサンチンは筋萎縮モデルマウスの骨格筋萎縮を抑制し、そのメカニズムは活性酸素を減少させ、筋タンパク質の合成と分解のバランスを積極的に調節するものであることが示唆された。これまでにフコキサンチンの抗サルコペニア作用は、細胞レベルでは確認されていたが、今回、動物実験でもその効果が実証されたことになるとしている。
研究結果は、査読付き科学雑誌「Nutrients」から、“Effects of Fucoxanthin on the Inhibition of Dexamethasone-Induced Skeletal Muscle Loss in Mice”として掲載されている。
同社は、フコキサンチンを食品・化粧品素材として販売している。フコキサンチンの機能性については、内臓脂肪中で脂肪を熱に変化するUCP1を活性化させることによる抗肥満作用が良く知られている。同社でも、フコキサンチンを継続摂取した際の抗肥満効果や痩身効果を評価した結果として、BMI25以上の日本人成人男女で、体重、BMI、内臓脂肪面積の有意な低下作用を確認している。