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オリザノール含有こめ油、届出支援 【機能性表示食品特集】オリザ油化、柱事業の成長図る

 機能性表示食品対応素材を13素材20ヘルスクレーム(5月末現在)まで増やしたオリザ油化㈱(村井弘道社長)。直近の追加素材は、新型コロナ下で需要が増えた「こめ油」だ。抽出物の研究開発、製造販売で知られる同社だが、こめ油の製造販売は1939年の創業以来の柱事業。γ-オリザノールを含有するこめ油を機能性表示食品市場に普及させて、より大きな柱に育てようとしている。

大さじ1杯で約23mg摂取

 「本品は、血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されている成分を含みます」。

 オリザ油化は今年2月、こうしたヘルスクレームを行う機能性表示食品を届け出た。本品とは、同社の国内工場で製造するこめ油を指す。一方、血中の中性脂肪などを低下させる機能が報告されている成分とは、γ-オリザノールのことだ。

 機能性表示食品のヘルスクレームであるにもかかわらず成分名を明示していないのは、食薬区分の専ら医薬品リストにγ-オリザノールの名称が収載されているからだ。同リストに載っているものを機能性関与成分として届け出る場合の「事実上のルールにされている」と同社は見る。

 同社が届け出たこめ油は、米ぬかを原料にして製造する。前述のヘルスクレームを行う機能性表示食品としての1日当たり摂取目安量は、大さじ一杯に相当する14g。この量を摂取することで、22.3mgのγ-オリザノールを摂取できる。

 γ-オリザノールを添加したのではない。国内外で特許を取得した低温抽出法などのエコロジーも意識した以前からの製法をとることで、γ-オリザノールをそれだけ含むこめ油を製造できるという。同成分は、米ぬかの脂質中にもともと多く含まれる。

こめ油、さまざまな食品に利用できる魅力

 γ-オリザノールを機能性関与成分として含む機能性表示食品の届出件数は現在、同社を含め4社6製品(5月末現在)。届け出された食品の形態を見ると、もともとγ-オリザノールが含まれる玄米、玄米加工食品、こめ油に限られ、その他の食品形態の届出は見られない。しかし、さまざまな食品に利用できるのがこめ油だ。

 例えば、ドレッシングやマヨネーズ。そのほか、スナック菓子をはじめパンやチョコレートなども。オリザ油化では、「油脂を使う食品であれば、こめ油はおおよそ何にでも使える。風味を良くすることもできる」と言い、こめ油を1日あたり14g摂取できる形態の食品であれば、γ-オリザノールを関与成分にした機能性表示食品の開発が可能になる、と話す。「広告などでは成分名をうたえないにせよ、2つの機能性(血中中性脂肪の低下、総コレステロールの低下)を低コストで訴求できる魅力は小さくないと考えている」。

 機能性表示食品対応素材について同社では、原材料販売とともに、研究レビューなど届出に必要な資料の提供をはじめとする届出サポートを手がける。制度施行から9年目を迎え、届出に関するノウハウも蓄積されてきた。こめ油についても、届出サポートを進める。

 サプリメントについては「摂取粒数が多くなりすぎることもあって現実的ではない」。だが、さまざまな食品事業者がこめ油を利用した加工食品を機能性表示食品として届け出るための支援を進める。そうすることで、健康志向の高まりを受けて需要が伸びているこめ油の潜在需要の掘り起こしにもつなげたい考え。

【石川太郎】

(冒頭の画像:オリザ油化が届け出た「こめ油」の表示見本。消費者庁の機能性表示食品届出データベースから) 

<COMPANY INFORMATION>
所在地:愛知県一宮市北方町沼田1
TEL:0586-86-5141
URL:https://www.oryza.co.jp
問合せ:https://www.oryza.co.jp/contact/
事業内容:こめ油、機能性食品・化粧品素材等の製造販売のほか受託製造事業

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