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エビデンス入門(71) 学術論文の種類

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣

 食品だけでなく何らかの研究を行った場合、学術論文として研究結果をまとめることは、よく行われる。機能性表示食品の届出や特定保健用食品の申請では、査読付き論文として雑誌に掲載されることが条件となっている。そもそも学術論文は、ヒト試験の結果のみならず、さまざまな研究の結果を発表する場である。研究領域に応じて、専門の雑誌が分かれていることが多い。そのため、分野違いの雑誌に出すと、編集部から雑誌の投稿規定や、対象領域と異なるとして投稿が却下される。論文を投稿する際は、投稿する雑誌の対象分野と研究分野が合致していることが重要である。 ヒト試験の場合は、医学系雑誌に投稿することになる。対象の専門領域に投稿することで、論文の専門領域に合った査読者が選ばれやすく、査読者の意見が的確になる。そのため、投稿する雑誌選びは慎重に行う必要がある。

 雑誌を選ぶ際の参考になるのが、各雑誌で定められている「Aims and scope」などのジャーナルの目的、ジャーナルの取り扱い領域を定めた投稿規定である。また、多くの学術雑誌で論文の種類がいくつか分けられており、体系的に行った研究をまとめた「原著論文」、体系的ではないが、ある程度まとまった結果を掲載する研究ノート、原著論文をいくつか引用し、総合的に事象をまとめ考察する総説(レビュー)などがある。

 医学系では、さらにある1つの事例を報告するような症例報告など、さまざまな形態がある。学術雑誌によって区分が分かれているため、投稿時には注意が必要である。また、一般的に雑誌で総説やレビューと呼ばれるものは、システマティック・レビュー(SR)のようにきっちりとした体裁になっていないものも含む。研究者が取り組んできた研究内容について、文献をくまなく調査しなくても、研究者の目線で重要な論文を選びまとめるものもレビューと呼ばれる。

 総説で論ずる研究の選択は、システマティック・レビューほど縛りが無く、著者の選択によるものである。総説では、論文データベースにかからない論文についても含んでいることがあり、機能性表示食品のシステマティック・レビューを行う際も、総説というだけで除外するのではなく、総説でまとめられている論文についても目を通すことで新たなエビデンスを得られることもある。原著論文や研究ノートだけでなく、総説も重要な情報を含んでいることが多い。

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<プロフィール>
2000年、近畿大学農学部農芸化学科卒。
2005年、近畿大学大学院農学研究科応用生命化学専攻、博士後期課程満期退学。
2005年、博士(農学)取得。近畿大学農学部研究員、化粧品評価会社勤務、食品CRO勤務を経て、2016年から関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科。
専門は、農芸化学分野を中心に分析化学、食品科学、生物統計学と物質の研究から、細胞、動物試験、ヒト臨床試験まで多岐に渡る研究歴がある。特に食品・医薬品の臨床研究は、大学院在籍時より携わった。機能性表示食品制度発足時から、研究レビューの作成およびヒト臨床試験など多くの食品の機能性研究・開発に関わる。
2023年1月、WNGが発信する会員向けメルマガ『ウェルネス・ウィークリー・レポート』やニュースサイト『ウェルネスデイリーニュース』で連載した「エビデンスの基礎知識」が100号に達したのを記念し、内容を改めて編集し直し、「開発担当者のための『機能性表示食品』届出ガイド」を執筆・刊行。

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