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エビデンス入門(62) 一次情報、二次情報とは

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣

 機能性表示食品の届出などで、安全性について調査する必要がある。その際、届出書式に記載欄のある二次情報や一次情報という区別がある。

 一般的に文章を作成する際、さまざまな情報源から情報を得てまとめる。インターネットなどで簡単に情報にアクセスできるようになった昨今、真偽不明な情報を発信してしまうこともありがちだ。特に、自身が発信する情報については、出所(情報源)についてはきちんと整理しておく必要がある。学術的な文章を作成するにあたっては、背景にある情報を調査しまとめることが多い。その際に、情報源を明記することは、読み手側も真偽を見極める上で有効だ。そのため、多くの論文や学術文書では、引用という形で作成した文書の情報源を明らかにしている。

 学術文書を作成する際の情報には2種類あり、一次情報と二次情報に分類できる。一次情報とは、研究者が実験や臨床試験を直接実施し、結果をまとめ報告したものだ。つまり、一般的には、1つの情報で1つの仮説、あるいは目的とその仮説や、目的をもとに実証した研究結果についてまとめている。論文の種類で言うと、原著論文などに分類される。一方、二次情報とは、研究者の興味がある事項や目的に沿って、文献などの情報を集め、それらの結果について記載し、研究者自身の解説や考えを補足したものである。総説や各種データベースの記事も二次情報に該当する。

 一般的に一次情報をしっかりと探すには、システマティック・レビュー(SR)と同様に各種データベースでキーワードを設定し、網羅的に検索した情報を取捨選択していく。よって、この作業は手間や時間がかかる。一方、二次情報は調査目的に合致するデータベースが整備されていることがあり、検索データベースによる検索も網羅的にしなくても簡易な検索で総説(レビュー)にたどり着くこともある。

 このように、インターネットなどのデジタル化が普及した昨今、二次情報に簡単にたどり着けるようになった。一方で、二次情報を使った情報発信は、誤解釈の発信や盗用といった疑いもかけられやすい。二次情報は、簡単に情報にたどり着けるが、得た情報についてはしっかりと情報源や真偽などを把握しておく必要がある。また、二次情報を利用する際も、引用をしっかりと伝えることが盗用の疑いを避けることにもつながる。また、二次情報に記載された内容をそのままそっくりコピーしないなどの注意が必要である。 

(つづく)

<プロフィール>
2000年、近畿大学農学部農芸化学科卒。
2005年、近畿大学大学院農学研究科応用生命化学専攻、博士後期課程満期退学。
2005年、博士(農学)取得。近畿大学農学部研究員、化粧品評価会社勤務、食品CRO勤務を経て、2016年から関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科。
専門は、農芸化学分野を中心に分析化学、食品科学、生物統計学と物質の研究から、細胞、動物試験、ヒト臨床試験まで多岐に渡る研究歴がある。特に食品・医薬品の臨床研究は、大学院在籍時より携わった。機能性表示食品制度発足時から、研究レビューの作成およびヒト臨床試験など多くの食品の機能性研究・開発に関わる。
2023年1月、WNGが発信する会員向けメルマガ『ウェルネス・ウィークリー・レポート』やニュースサイト『ウェルネスデイリーニュース』で連載した「エビデンスの基礎知識」が100号に達したのを記念し、内容を改めて編集し直し、「開発担当者のための『機能性表示食品』届出ガイド」を執筆・刊行。

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