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エビデンス入門(57) 機能性表示食品で認められない表現・機能 

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣

 機能性表示食品の届出ガイドラインには、可能な機能性表示の範囲と認められない表現例が例示されている。

 まず挙げられているのが、「疾病の治療効果又は予防効果を暗示する表現」。具体的に疾病名を挙げることや、疾病を容易に想像できるような表現は認められていない。例えば、「血圧を下げる」という機能に対する表現では、制度が始まった初期では、「血圧が高めの方に適した機能がある」とトクホと同じように間接的な言い回しの表現であったが、最近の表示では、「血圧が高めの方の血圧を下げる機能」というように、具体的に「血圧を下げる」という表現が認められている。
 しかし、疾病の治療効果と取られないように、パッケージなどで、疾病に罹患していない者の範囲である点などが記載されているなど、誤認を防ぐ表示がされている。

 続いて「健康の維持及び増進の範囲を超えた、意図的な健康の増強を標榜するものと認められる表現」だが、ガイドラインでは具体例として、肉体改造、増毛、美白などが挙げられている。この他にも健常者において変化しても、臨床的意義が見受けられないマーカーの変化なども該当すると考えられる。特に、美容と関連の深い表現は、健康増強と取られる場合があり、注意が必要だ。

 さらに、「科学的根拠に基づき説明されていない機能性に関する表現」も挙げられている。かなり曖昧な書き方であるが、例えば、研究レビューや最終製品の届出において、採用した論文の主要評価で有意な差が認められていない場合に、説明なしに副次評価項目だけを取り出し、その項目を機能性の根拠とする場合は、「科学的根拠に基づいていない」と取られることがある。

 また、ガイドラインでは例示として、「限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤解を招く表現」がある。免疫機能で受理された届出もあるが、身体全体の免疫が変化していることの説明が重要である。一般的に免疫マーカーと呼ばれる評価項目は、各マーカーによって特定の免疫作用の変化を捉えることが多い。免疫作用は1つに限定されず、さまざまな経路があると考えられることから、特定の免疫細胞(経路)の変化だけではなく、身体全体の免疫機能が動いている、変化しているという説明が必要になってくる。現在のところ、樹状細胞の活性(pDC活性)が身体全体の免疫の変化を捉えるアウトカムとして受理されているが、今後さらに、他の経路でも説明ができれば受理される可能性がある。

(つづく)

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