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エビデンス入門(31)
  機能性表示食品のガイドライン改正(前)

 関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏

 機能性表示食品のガイドラインと質疑応答集(Q&A)は、定期的に変更されている。今月22日にも改正が行われた。軽症者の取り扱いについてなど大きな制度改正が行われる前には、検討会が実施されることが多く、今回は大きな改正はなかった。一部の文言の整理などにとどまっていたが、1つだけ重要な項目がQ&Aで追加・変更されていた。

 ガイドラインの改正時には、Q&Aの改正を伴うことが多く、どちらも確認しておかなければならない。ガイドラインの条文には変更が無くても、解釈や追加の必要事項が増え、Q&Aに追記されることが多いためである。

 今回は、問32が新規で追加された。内容は、「分析資料を作成する際に留意すべき事項は何か?」という題で、全届出における共通留意事項、クロマトグラムを使った分析法である場合、機能性関与成分が腸内細菌等である場合、機能性関与成分が糖質、糖類またはエキスである場合、その他など、具体的な項目立てを行い、詳細を述べている。

 内容的には、ガイドラインに記載した方が良いようなかなり細かい指定がされているが、ガイドラインではなくQ&Aに記載されているので届出を行う場合は、注意する必要がある。本内容について、これから何回かに分けて紹介していく。

 まず、この項目立てが追加された理由は、該当Q&Aにも記載があるが、機能性表示食品制度の機能性関与成分は、「第3者機関で測定できること」が前提であるから、できるだけ詳細に述べる必要があるとされている。その前提に立ち、細かく記載する必要を求めている。そのため、マスキングの範囲などについても定めている。

 今回は、「全届出における共通留意事項」について述べる。ここでは、最終製品の分析結果に影響を与える標準品や、計算式、あるいは換算式の根拠について述べられている。特に、これまであまり触れられてこなかった標準品については、純度や試薬のグレード、標準品が市販されていない場合は、開示可能な場合は構造式や製造方法についても記載し、開示が不可能な場合は入手

 方法を記載するとされている。届出者が独自に見つけた成分など、一般的でない成分についてはこれまで第3者が分析することは難しかった。これを改善するために標準品の入手方法や構造式を届出させるということでより具体的に決められている。

 また、分析化学的に重要な部分についても触れられており、最終製品の前処理方法や、分析に供する試料の前処理方法や、添加回収試験などによる前処理方法の妥当性の記載など、かなり細かい内容の記載を求めている。今までの届出では、あいまいな書き方でも届出を受理されていた例が多かったため、これらを改めさせ、第3者が誰でも分析できるように変更してきていると考えられる。

                                             (つづく)

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