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エビデンス入門(30)    広告表現における留意点(2)

                   関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏

 
 今回は、広告表現における留意点について前回に引き続き解説する。前回は、パッケージや製品紹介などの広告での留意事項について解説した。今回は、実際のこれらの運用に関する留意事項について解説する。

 事後チェック指針では、広告表現については、届出した科学的根拠が正しい前提で運用していくとある。しかし、届出に不備があった場合は、速やかに修正や撤回をすれば、景品表示法で問題となるものとして取り扱わないとされている。つまり、届出不備があれば速やかに届出を撤回や修正(広告なども含む)するなどの対応が求められている。

 どのような場合に、速やかに対応が必要なのかについてはいくつか例示されており、「新たな科学的知見により、届出された根拠資料が科学的な合理性を欠くこととなることが判明した場合」とあるように、研究レビューの場合は、採用される論文が増加し、これまでのレビュー結果と異なる判断があった場合、もしくは採用論文の撤回が起こり、レビュー結果の修正が必要になった場合である。

 最終製品による届出についても、届出を行った査読付き論文が修正や撤回されるなどした場合は、これらの事項に触れる場合があると考えられる。機能性表示食品制度において、科学的根拠についてのデータの更新については、積極的にアナウンスや問題提起はなく、制度として更新の仕組みが整っているわけではない。これは、研究レビューの場合、個々の検索語や検索条件の違いにより採用論文の違いはどうしても避けられない。そのため、個々の採用論文の違いについてはあくまで企業側の責任として位置づけられている。

 ただし、制度が充実するにつれ、事後的に採用論文の差について指摘がある可能性がある。意図的な不採用による恣意的な届出は滅多に無いと考えられるが、この事後チェック指針の運用により、より精度の高い届出書類の作成や、研究レビューの検討が求められるようになると考えられる。特に、採用論文の増加による不備指摘は、予測し難い。

 そのため十分な制度の把握だけでなく、事後チェック指針の開始を機会に他社の届出のチェックや作成した研究レビューの定期的更新など常に届出した商品の科学的根拠については確認する体制が必要になっている。そのためにも、自社で届出できる人材や、研究レビューの仕組みや実際に検索できる人材の育成が必要である。
                                               (つづく)

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