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エビデンス入門(3)ジャーナルの種類と質

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科
講師 竹田 竜嗣 氏

 今回は「ジャーナルの種類と質」について解説する。機能性表示食品の届出で、最終製品を用いた臨床試験の結果を機能性の根拠とする場合には、研究成果が「査読付き論文」に掲載される必要がある。

 「論文の査読」とは、一般的に学術雑誌において、レフリーまたはレビュワーと呼ばれる第3者が提出された論文原稿を読み、ジャーナルの掲載方針に合っているかどうかを精査して、ジャーナルに掲載すべきかどうかの採否を検討する作業である。これらのプロセスがあることで、一定の「論文の質」が担保される。

 多くの学術雑誌では、この査読制度によって雑誌の質を担保している。また、雑誌の権威付けを測る指標の1つとしてインパクトファクターがある。これは、雑誌に掲載された論文の引用回数などを指標として、社会的に影響が高い雑誌に付与されるものである。近年では、論文のオープンアクセス化(読者に無料で論文を読ませる)が進み、必ずしもインパクトファクターが高い雑誌が良質の論文が多く、査読が厳しいとは限らなくなっている。

 そのため、投稿するジャーナルは、論文の執筆者が注意深く選ぶ必要がある。また、ジャーナルの質を選ぶ指標は複雑化している。いくつかのポイントを挙げると、(1)発行元がどこか、(2)編集長は著名な人物か、(3)どのようなデータベースに掲載されるか――などがある。

 発行元については、外国雑誌の場合、著名な学術出版社が発行しているかどうか、学会などの学術団体が発行しているかどうかが重要な指標となる。編集長についても、雑誌の分野で有名かどうかも判断材料の1つとなる。掲載されるデータベースについては、日本の雑誌であれば医中誌にほぼ掲載されるが、外国雑誌の場合はPubMedに掲載されない雑誌が意外に多い。インパクトファクターが付与されている雑誌であっても、掲載されない場合がある。

 PubMedやWeb of Scienceなどの著名なデータベースに掲載されるメリットは、多くの読者に読まれることである。論文はたくさんの人によって読まれ、関連研究で引用されることによって価値が高まるため、掲載されるジャーナルがデータベースに掲載されることは重要である。

 また、データベースの掲載基準を見ると、一定の質を求められることが多いことから、データベースに掲載されるジャーナルの方が望ましい。このため、機能性表示食品のヒト試験の論文を投稿する際には、できるだけ論文データベースに掲載される雑誌を選ぶ方がよい。

 最近では「ハゲタカ出版社」と呼ばれる査読が甘く、すぐに掲載する出版社も増えつつある。ハゲタカ出版社は、多額の掲載料と引き換えに、論文をスピーディーに掲載することが特徴である。しかし、ハゲタカ出版社の正確な定義が存在しないため、論文の執筆者が十分に注意し、選択する必要がある。

 インターネットの普及により、簡単にさまざまな論文にアクセスできる便利さはあるが、情報の正確さや質は投稿する側や読む側が注意する時代になりつつある。そうした背景から、機能性表示食品制度では、最終製品を用いたヒト試験の論文についても、届出ガイドラインで査読制度や基準、掲載までのプロセス(査読期間など)が明確である雑誌を選択するように記載されている。

(つづく)

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