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エビデンス入門(29)~広告表現における留意点

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏

 

 今回は、事後チェック指針で取り上げられている広告表現における留意点について解説する。
 機能性表示食品の広告については、事後チェック指針でも書かれているように、これまでの健康食品と同様に、景品表示法が主として関係してくる。また、機能性表示食品の届出においては、パッケージも届出資料に含まれるため、パッケージで示される表現やそれらを連想させる図柄は、科学的根拠を逸脱していると捉えられる場合、受理されない。しかしながら、受理後は、広告における表現で差別化や目立つことを意識し、表現が科学的根拠以上の表現になりがちである。このように、広告における留意点について例示を交えながら事後チェック指針では触れられている。

 具体的には、「景品表示法上問題となるおそれのある広告その他の表示の要素」として7項目が挙げられており、さらに「打消し表示」の取り扱い、「誤認される“表示”の判断」、「景品表示法上問題となるおそれのある主な表示の類型」と続き、これまでの健康食品における景品表示法違反事例も鑑みながら、機能性表示食品の事例も考慮し構成されている。

 特に重視されているのは、機能性表示文言を消費者が過大に評価してしまうような広告の構成について例示されている。
 例えば、「景品表示法上問題となるおそれのある広告その他の表示の要素」では、「解消に至らない身体の組織機能等に係る問題事項等の例示」として、イラストなどを用いて表現することが指摘されている。これは、例えば「健常者の膝関節の曲げ伸ばしの違和感の解消」という機能性表示で受理されながら、痛みを感じているように見える老人のイラストを使用した場合は、事後チェックとして問題となる場合がある。しかし、イラストから受ける印象は個人差があるため、1つの表現や、図柄で判断されるのではなく、広告を構成している全ての要素を確認して、客観的に判断するとされている。

 過去の摘発事例も参考になるが、景品表示法などで消費者に誤認を与え、顧客誘引効果があるかどうかの線引きは、非常に難しい。
 しかしながら、行政側からこれらの指摘を受けた場合、ほとんどのケースで販売側の見解や異議が理解されることは少ない。そのため、意図的、非意図的を問わず、誤解を生む表現やイラストは避けた方が良いと考えられる。

 機能性表示食品の場合、研究レビューで届出が可能なため、原料メーカーの研究レビューをもとに、同じような機能性表示文言でさまざまなメーカーから機能性表示食品として販売されることが多い。このような場合、他社との差別化は広告やパッケージなどに限られてくる。届出後に広告で指摘を受けないよう、景品表示法などに詳しい専門家の意見も得ながら、消費者に誤認を与えない広告表現を行うことが重要である。

(つづく)

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