1. HOME
  2. エビデンス入門
  3. エビデンス入門(27)~研究レビューにおける留意点(その1)

エビデンス入門(27)~研究レビューにおける留意点(その1)

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏

 機能性表示食品の事後チェック指針で取り上げられている内容について解説する。今回は研究レビューにおける留意点について取り上げる。研究レビューによる届出は、機能性表示食品制度の普及にかなり貢献している。機能性表示食品制度は、この研究レビューによる届出がなければここまで発展しなかったといっても過言ではない。

 しかし、制度初期は、システマティックレビュー(研究レビューの方法の原点)とは何かということが、一般にあまり知られておらず、ガイドラインの改定過程で紆余曲折があったのも事実である。また、研究レビューの大きな特徴は、構成する採用論文は1報でも成り立つ点にある。通常のシステマティックレビューは、メタアナリシスを含む定量的統合による評価がほとんどのため、採用する論文は複数存在する。
 しかし、研究レビュー方式による機能性表示食品制度のシステマティックレビューは、メタアナリシスを含まない定性的統合による評価が多いため、1報でも組み立ては可能である。そのため、採用論文を見つけ、バイアスを評価していくまでのプロセスは非常に重要であり、事後チェック指針においても、研究レビュー結果の客観性・透明性を担保することが求められている。

 特に「論文の検索条件や採択・不採択の論文情報等、結論に至るプロセス」と、「研究レビュー作成にあたってのスポンサー、共同スポンサーの情報や利益相反に関する情報」、「出版バイアスの検討」については例示されており、注意を要する。
また、例示されている3つの中では、機能性表示にあたり、不都合な文献を排除する(検索にひっかからないようにする)恣意的な検索が一番問題であると思われる。

 特に、自社で開発した機能性関与成分を用いた臨床試験のみのエビデンスで研究レビューを構成している場合、気を付けなければいけないのが過去に同じ成分で試験が実施されていないかどうかということ。網羅的に検索する必要がある。アウトカムによっては、既存の文献が採用できる場合もあり、特に1報で研究レビューを構成している場合、もう1報がネガティブな結果であればエビデンスのレベルは弱くなってしまう。

 ガイドラインでは、表示しようとする機能性について「肯定的な査読付論文が1報もない場合」は成り立たないとされているため、理論上は1報否定的な論文が存在してもエビデンスが無効とは直ちに判断できないが、意図的に採用していないのではないかという疑義を招きやすい。そのため、検索の過程、特に検索語の設定や、調査するデータベースは重要である。最近の傾向としては、検索語はより網羅的に設定したほうが良いという考えが出てきており、研究レビューを実施する場合は、事前の予備検索など、検索語の設定の検討が非常に重要である。

(つづく)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ