エビデンス入門(24)エキス等の留意点
関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科
講師 竹田 竜嗣 氏
機能性表示食品の事後チェック指針で取り上げられている「エキス等の留意点」について解説する。
事後チェック指針では、エキス等の留意点としては、2つの項目が上がっており、1.「エキス及び分泌物(以下「エキス等」という。)に含有される特定の成分を機能性関与成分としているものであって、当該特定の成分のみでは表示する機能性を根拠論文等により合理的に説明できない場合」、2.「エキス等を機能性関与成分とする場合において、指標成分が機能性関与成分たるエキス等との同等性を確保できることについて、合理的に説明できない場合」がある。
1.は、機能性関与成分を特定して届出をする場合であり、制度発足当時から存在する届出方法での留意点である。
2.は、制度改正により新設された「関与成分不明瞭の場合」の届出における留意点である。機能性表示食品の制度では、届出製品の品質管理のために、表示しようとする機能性の根拠となる物質を決めて、品質管理する必要がある。最終製品に機能性関与成分を精製した純品を添加するケースはあまりなく、通常は、機能性関与成分を含む原料として、抽出物(エキス)や分泌物を用いる。
1のケースでは、これらのエキスに含まれる機能性関与成分以外の他の物質が、表示しようとする機能性に関与していないことを求める記述であり、届出資料としても提出する作用機序の書類やヒト試験の根拠論文の考察など、何らかの学術資料で、原料中の機能性関与成分のみで表示しようとする機能性が説明できることを求めている。作用機序の説明には、「動物レベル」、「細胞レベル」、「酵素レベル」などのヒト以外の方法での説明でも良いので、機能性関与成分のみと機能性関与成分を含む原料での作用機序を比較し、機能性関与成分を含むエキスでも機能性関与成分を含む原料でも、作用機序の活性は一緒であることを実験するなどして、学術的な根拠を得る必要がある。
2のケースは、関与成分不明瞭の区分で届出する場合であるが、この区分でも品質保証の観点で機能性を担保する必要があり、原料となるエキスや分泌物において、作用機序から機能性を一部説明できる成分を指標成分と定め、エキスの品質管理を実施する必要がある。
エキスは、同じ植物を材料としても抽出方法や、産地など様々な条件によって、含有する成分が異なる可能性がある。そのため、機能性関与成分不明瞭の区分では、エキス自体の同等性についても担保を求めている。方法としては、指標成分1つだけでなく、HPLCなど機器分析におけるクロマトグラムパターンなどで、機能性の根拠論文で用いた原料と同じであることを示す必要がある。そのため、指標成分は1つではなく、複数設定することが望ましく、複数指標成分のおおよその含有比などを定めるなどしてエキスの同等性を担保することが求められている。
(つづく)