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エビデンス入門(11)安全性の評価手法

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科
講師 竹田 竜嗣 氏

 今回は、安全性の評価方法について解説する。機能性表示食品などの安全性の評価は、食経験の有無で評価していることがほとんどである。この食経験の有無については、明確な判定基準があるわけでなく、事業者判断に任されている。

 生鮮食品のように、野菜・果物・魚肉などの農畜産物そのものが最終商品であれば、食経験は明らかであり、安全性の評価として食経験のみで判断することは可能であると思われる。しかし、加工食品やサプリメントタイプの加工食品などの場合は、たとえ食経験のある農畜産物であっても、加工処理によりエキス化されて濃縮されるなど、農畜産物そのものを食べる場合と異なる。

 そのために、これらの加工された食品になると、そのものの食経験だけでなく、類似した食品による食経験の評価も拡大して行う。しかし、「類似食品」の明確な定義は存在しない。また、サプリメントタイプの加工食品であれば、よく似た機能性が期待できる原料が複数入っている商品もあり、処方が異なることにより単純に比較できない場合がある。こうなるとさらに一歩進んで、機能性関与成分の安全性を評価するなどして、間接的な評価を積み重ねていく必要がある。

 また、昨今新しい原料の開発が進み、さまざまなエキスや抽出物が開発されている。これらの原料の安全性の評価については、細胞や動物などにより急性毒性、遺伝毒性、突然変異誘発の有無など、in vitro、in vivoの評価は行われているが、ヒトでの評価は不十分であることが多い。

 そこで、ヒトでの安全性の評価を実施する。通常は、1日摂取目安量の3倍量や5倍量などを4週間摂取する過剰摂取試験による評価である。この試験では急性の毒性などで判定は可能であるが、長期的な評価は難しい。そのため、動物試験などの結果から無毒性用量などを算出し、これらの評価も組み合わせて、間接的に評価している事例がほとんどである。

 このように安全性の評価は、食品の形態などを踏まえ、1つの方法による評価だけでなく、複数の方法を組み合わせて、多角的に評価することが必要である。そうしたでき得る評価を実施したとしても、未知の毒性が存在している可能性もあり、やはり販売後における健康被害情報やクレームの収集も行い、定期的にまとめて把握、または情報公開することも必要となる。安全性に絶対はないと考え、日頃から情報を収集する体制を整えることが重要である。

(つづく)

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