インデナのケルセチン、次の機能表示 【機能性表示食品特集】アレルギー領域で拡充目指す
フラボノイド(ポリフェノール)の一種、ケルセチンを機能性関与成分にした機能性表示食品を普及させようと、インデナジャパン㈱が提案に力を入れている。昨年、鼻の不快感を軽減する旨のヘルスクレームを可能にしていた中で、新たに、脂質の吸収抑制に関連した機能性表示を行えるようにした。今後、論文発表を済ませているヒト対象研究で得られた知見を踏まえ、第3弾ヘルスクレームの実現を目指す。
第2弾は食後の血中中性脂肪上昇抑制
イタリア・ミラノを拠点とする植物エキスメーカー大手、インデナが開発した「ケルセフィット(Quercefit)」。マメ科植物エンジュの花と蕾(つぼみ)から得られるケルセチンを40%以上含むかたちで標準化したものだ。天然物の生体内への吸収性や安定性などを高める目的でインデナが開発した加工技術「フィトソーム(Phytosome)」を施してある。
フィトソームは、リン脂質であるレシチンの特性(界面活性作用)を生かしたインデナの特許技術。医薬品に用いられるドラッグデリバリーシステムに範をとったもので、天然物から得られる有効成分の胃腸液での溶解性を高めるとともに、腸での吸収を増加させる。ケルセチンに同技術を施すことで、配糖体化していないケルセチン(アグリコン型ケルセチン)のままでも効率よく吸収されるようになる。同社によれば、ケルセチン単体と比較して生体利用率が最大20倍まで高まることが確認されているという。
インデナジャパンでは昨年、機能表示食品対応素材としてケルセフィットの提案を始めていた。ケルセチンにはさまざまな生理活性のあることが報告されており、ケルセフィットの有効性を検証するヒト対象研究論文も複数発表されていた中で、免疫とも関わりのあるアレルギー領域の機能性に着目。健常者を対象にしたRCT(ランダム化比較試験)を国内で実施し、発表した論文を踏まえ、「花粉、ほこり、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減する」旨のヘルスクレームを行えるようにした。
その上で今年、外部委託したシステマティックレビューに基づき、新たに、食後の血中中性脂肪の上昇を緩やかにする旨のヘルスクレームを行えるようにした。「花粉、ほこり、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減する機能、また、脂質の吸収を抑えることで食後の血中中性脂肪の上昇を緩やかにする機能がある事が報告されています」という新旧のヘルスクレームを組み合わせた届出を、同社と日本における代理店契約を結んでいるユニキス㈱(東京都中央区)が行い、3月末に公開されている。
1日あたり有効摂取量は、ケルセチンとして200mg、ケルセフィットとして590mg。
鼻の不快感と睡眠の質、そして疲労感
鼻などの不快感軽減を訴求するアレルギー領域の機能性表示食品は今後、岸田文雄首相が花粉症対策に政府として乗り出すことを表明したことも追い風に需要が高まると同社では予測。現在、届出に向けたチャレンジを進めている第3弾のヘルスクレームも、アレルギー領域に関わるものだ。
国内で発表済みの論文に基づき、花粉などによる鼻の不快感によって低下した睡眠の質の向上や一時的な疲労感の軽減などといった機能を表示できるようにするチャレンジを進めているという。鼻の不快感と、睡眠の質や疲労感との関係を適切に説明できるかどうかが最大の焦点となりそうだが、実現すれば初のヘルスクレームとなる。
【石川太郎】
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