＜通販ノウハウを生かしてサプリ・コスメ開発を一貫サポート＞

同社は、通信販売事業の商品づくりから販売、システムの構築まで、事業規模に合わせてワンストップで支援する総合サポート企業。ファブレス部門は健康食品・コスメティック商材の企画・開発・OEMを手がける。システム開発事業部では、年商数十億円規模の企業の販売と基幹システムをつなぐ総合システムを提供し、物流からコスト削減、システム提案の相談に応じる。同社の井上雅善社長に話を聞いた。（聞き手・文：田代　宏）

＜コロナ禍で拡大する通販市場＞
――新型コロナウイルスの影響下、通信販売事業が伸びているという。
井上　人との接触を避けるという意味で、ニーズは増えているのではないか。食品関連だと、余った食材の加工から販売を依頼されるケースも増えているし、宅配の支援を行う事業所もある。
　一方、マスクの販売など一時的なニーズに走った通販会社のなかには、商品の入荷が遅れたり、商機を逸して商品がダブついている企業もあると聞いている。

――貴社は通販システムの開発をサポートしている。
井上　通販事業に新規参入する会社や既に通販を行っているけれども売上が伸びない会社、またマンパワーが足りないなどの理由で悩んでいる会社のサポートを行っている。
一口に通販と言っても、カタログ通販・テレビ通販・ECサイトなどさまざまな形態があり、そのなかでも商品開発から宣伝、業務の効率化、販売まで数多くのプロセスを踏む必要がある。

――それをトータルにサポートしているのか？
井上　基幹システム、ECサイト、サーバー構成、コールセンター、物流、コスト削減、運営・管理まで、専門分野を幅広く補助している。また、健康食品・化粧品の企画製造、ニーズ調査、レシピの提案なども行っている。

＜福岡を拠点にファブレス事業を展開＞
――ファブレス事業も展開？
井上　システム開発部門は東京本社に置き、福岡にファブレス部門を置いている。ここは、健康食品の企画・開発をはじめ、OEM製品を受託している。九州は昔から健康食品が盛んな土地柄だけに小規模事業者の参入も多く、競争がとても激しい。ただ、異業種からの参入となると、健康食品の知識のない事業者も少なくない。それらの事業者をきめ細かくサポートしている。

＜中小通販のサポートが中心＞
――具体的には？
井上　初めて健康食品を開発する場合でも、小ロットでの製造が可能だ。また、当社は世界中の原料メーカーとネットワークを結んでいるため、1,000種類以上の素材を組み合わせることができる。他社との差別化を求める企業にはオリジナル原料を提案し、シェア獲得のサポートを積極的に行っている。
特に関わりが多いのは、1カ月500～1,000万円程度の広告料で回している、いわゆる中小と呼ばれる通販会社。予算に合わせて既存製品のOEMを小ロットで提供し、九州エリアで培ったノウハウを生かすことで、事業規模やターゲットに応じて、パッケージデザインからウェブサイトの構築、LP制作などの販促活動までを組み入れた独自の企画提案を行っている。もちろん、クライアントの販売方針に合わせて、試作品の提供も行う。

――機能性表示食品にも対応できるのか？
井上　大学や研究機関との連携を生かし、臨床試験によるエビデンスの提供から機能性表示食品の設計・取得のサポート実績がある。

＜化粧品の製造販売許可を取得＞
――化粧品事業も順調のようだが。
井上　化粧品の製造販売許可を取得し、新たにヘルス＆ビューティープロダクト事業部を立ち上げた。

――ポストコロナ、ウィズコロナに向けて抱負を。
井上　コロナだけでなく世界経済も変わり始めており、正確な情報の取り方も考えなければならなくなった。不要な業務や時間の使い方など、要らないものが浮き彫りになっている。当社では、設立当初から一部でテレワークを実施していたが、通販の仕組みと同様に業務効率を改善し、IT化の促進と収益の仕組みを見直している。検証の上、取引先にも同じ提案を行うつもりだ。

――講談師・神田蘭先生のプロモートにも携わっているようだが。
井上　インフォマーシャルの出演を依頼したのがきっかけだった。同じような芸で落語家は全国で約900人、講談師は90人ほどいるが、芸人としてマルチで活動できる人はなかなかいないため、全面的に応援しようと考えてプロモートを始めた。

――ありがとうございました。

【プロフィール】
(株)ヴェントゥーノ（福岡）、(株)えがお（熊本）で薬系卸、商品開発、販売、コールセンターなど各部署を経験し、2011年に独立。起業の立ち上げや通販部門の立ち上げなどにかかわり、13年に(株)クリエイト・シーズを設立。システム開発・販売、通販事業支援、健康食品・化粧品の企画受託製造など、事業に合わせた支援を幅広く行っている。趣味は飲み歩き。また、テレビ、ラジオなどで活躍している講談師「神田蘭」のプロデュースも行っている。