イチイの全草を専ら医へ 厚労省が食薬区分改正案
厚生労働省は24日、食品区分における成分本質(原材料)の取り扱いの例示」(以下、食薬区分)の一部改正案を公示し意見募集を開始した。医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質=非医=に収載していた植物由来原材料のイチイを、専ら医薬品として使用される成分本質=専ら医=に区分変更する。
イチイ(他名:アララギ)の「全草」を専ら医とする考え。現行の食薬区分では、イチイの果実を非医として取り扱っている。枝・心材・葉はもともと専ら医。
また、医薬品成分のシルデナフィルと類似の化学構造を持つN-フェニルプロポキシフェニルカルボデナフィルを専ら医に新規収載する案も示した。
食薬区分を審議する有識者で構成されるワーキンググループは、イチイについて、医薬品として使用されている化合物「Paclitaxel」が、果実など、現在規制している部位の他にも含まれると指摘。同化合物は強い毒性も持つため、全草を専ら医とすることが妥当だとした。
Paclitaxelは、他の植物由来原材料の食薬区分をめぐっても議論になっていた。
厚生労働省が今年3月に公示した食薬区分一部改正案では、同化合物が含まれることなどを理由に、非医のコウトウスギ(ウンナンコウトウスギ)の「心材」を、専ら医に区分変更する案を提示。コウトウスギは、イチイ科イチイ属の植物とされており、今回のイチイの食薬区分見直し案は、コウトウスギをめぐる議論の流れで持ち上がったとみられる。
意見募集期間は11月22日まで。
【石川 太郎】