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アミノ酸吸収向上機能で新論文 有胞子性乳酸菌「BC30」、若年層からシニアまで

 プロテインからのアミノ酸の吸収を高める機能を持つ乳酸菌に、新たなエビデンスが追加された。植物性プロテイン中アミノ酸の吸収向上機能が、シニア女性を対象にした試験で確かめられたというもの。これまでにミルク(動物性)プロテイン中アミノ酸の吸収を高める働きのあることが若い男女で確認されていた。プロテインの種類、摂取対象年齢層を問わず、プロテインからのアミノ酸吸収向上機能が期待できることになる。

植物性プロテインでもアミノ酸の吸収高める

 この乳酸菌は、アイルランドを本拠地にして世界各地で事業展開する総合食品メーカのケリー(Kerry)が製造・販売する「GanedenBC30」(以下、BC30)。芽胞を形成するため熱や酸に強く、腸まで届くことを特徴とする有胞子性乳酸菌(Bacillus Coagulans)の一種で、日本をはじめ欧米やアジアなどで配合食品が販売されている。

 平均年齢58.5歳のシニア女性を対象に海外で行われた、新しいヒト試験に関する論文は、昨年12月、海外の学術誌『Probaiotics and Antimicrobail Proteins』に掲載された。

 それによると、植物性プロテインとBC30を組み合わせるかたちで摂取すると、血中へのアミノ酸の吸収率が、植物性プロテインのみを摂取した場合との比較で有意に増加したという。BC30の摂取量は1日あたり10億個(67mg)、植物性プロテインは20g(タンパク質として)、摂取期間は2週間。ランダム化二重盲検クロスオーバー法が採用された。

 ケリー社は近年、食品素材の機能性研究への投資を積極的に行っている。BC30のプロテイン中アミノ酸吸収向上機能を検証するヒト試験については、2020年にも論文発表を行っており、今回の発表はそれに続くもの。

 前の試験では、平均年齢26.4歳の若い男女を対象に、ミルクプロテイン中アミノ酸の吸収向上機能を確かめていた。摂取期間や摂取量などの試験条件は新たな試験と全く同じ。ただ、結果は、新たな試験の方が優れていた、という。

試験結果、総アミノ酸が有意に増加

 日本でBC30の原材料販売を手がける㈱ヘルシーナビ(東京都大田区、井上俊忠社長)は、新たな試験の結果について、「前の試験に比べて、群間での有意差や有意傾向が確認できたアミノ酸が増えている。さらに、総アミノ酸や総必須アミノ酸に関しても群間比較(植物性プロテインのみを摂取した場合との比較)で有意差が確認されたことは特筆すべき点だ」とする。前の試験では、総アミノ酸、総必須アミノ酸に関しては有意差が見られていなかった。

 また、前の試験結果も踏まえ、「若年層から高齢者まで幅広い世代で、プロテインからのアミノ酸利用を増やすことが可能と考えられる。また、動物性プロテインに比べて吸収効率が劣る植物性プロテインのデメリットも改善するユニークな機能性を持つプロバイオティクスだと言える」と話している。

機能性表示対応で追い風さらに

 ヘルシーナビは、サプリメント・健康食品原材料の販売を手がけるユニキス㈱(東京都中央区)と共に、BC30の販売やプロモーションなどを通じた国内マーケティングを展開。プロテインの需要拡大を追い風に、ここ数年で販売量を大きく伸ばしている。

 この勢いをさらに増そうと、動物からヒトまで、これまでに行われた試験で取得されたエビデンスを活用し、機能性表示食品対応素材(機能性関与成分)としてBC30を提供できるようにする準備を進めている。

 プロテインと組み合わせて摂取することで、プロテイン中アミノ酸の吸収を促進させる作用が報告されている旨のヘルスクレームを行えるようにしたい考え。その中で、今回の新たな論文は、表示する機能性に関する科学的な根拠を強化する材料にもなる。

【石川 太郎】

(下のグラフ:シニア女性を対象に実施されたヒト試験結果の一部。総アミノ酸などが有意に増加した。ヘルシーナビ提供)

関連記事:「差別化乳酸菌」を届出へ プロテイン中アミノ酸、吸収促進機能に着目

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