アスリートの安全のために正しいアンチ・ドーピング教育を(後)
<トップアスリート向け「インフォームドスポーツ認証」スタート>
――LGCは7月、アンチ・ドーピング認証プログラム「インフォームドスポーツ」を開始しました。インフォームドチョイスとの違いは何でしょうか?
青柳 インフォームドスポーツ認証は、インフォームドチョイス認証の姉妹プログラムです。後者は07年にLGCが認証を開始し、16年に日本へ導入され、バイオヘルスリサーチリミテッドが総代理店として、これまでに62社156製品が認証を受けていますが、インフォームドチョイスがアスリート全般のための認証であるのに対し、後者はプロアスリートのための認証システムなのです。両方共に、認証までの過程は同じですが、インフォームドチョイスが発売後、毎月1回モニタリング分析を行うのに対し、インフォームドスポーツは、発売前に全ロット検査を行います。
――このタイミングでの導入は何か意味があるのですか?
青柳 これまでは、消費者やアスリートの混乱を避けて、インフォームドチョイスで統一してやってきましたが、五輪を前にトップアスリートのニーズも増えましたし、導入後4年が経ち、認知度も上がったということでインフォームドスポーツ認証の導入を決めました。これはLGC社も望んだことです。
生活がかかっているプロのトップアスリートがドーピング検査で陽性反応が出た場合、どのサプリメントでそうなったか、迅速にトレースできる状態を作っておくことが重要です。今回、当社が認証を取得した6製品は、プロのトップアスリート専用に提供する予定で、一般には流通しません。
<サプリメント事業を分割、新会社DNS発足>
――8月末、ドームがDNS(Dome Nutrition System)事業を分割したことで(株)DNSが発足しました。事業分割の動機は何でしょうか?
青柳 ドームがアパレル事業に特化するという方針を決めたことが1つ。それと、私もこの会社に居てずっと思っていたことですが、アパレルビジネスとサプリメントビジネスは根本的に違うということです。アパレルとサプリメントでは、本来、バイヤーも違います。それをドームの場合は、同じ営業が両方に売りに行っていたわけですから結構無理があったと言うことができます。
食品会社はコストの考え方とか、マーケティングへのお金のかけ方とか、利益の考え方などについて食品業界独自のものがありますが、我々はアパレル業界の考え方で食品を製造・販売していたわけです。原材料に対する考え方から原価に対する捉え方も違うし、意思決定の仕方も違ってきますから、そういう意味で今後は今まで以上に効率よくなります。
――要は、DNS事業が独り立ちできるまでに成長したということですね。
青柳 そうですね。かれこれ40億円近い売上にまで発展することができましたので。
――今後の方針は?
青柳 アスリートの安全と安心のために、正しいアンチ・ドーピング教育をサポートすると共に、インフォームドチョイスとインフォームドスポーツ認証を普及し、アンチ・ドーピング認証において業界でリーダーシップを取り続けていきたいと思っています。
――ありがとうございました。
(冒頭の写真:青柳氏、記事中の画像:インフォームドスポーツ認証のロゴマーク)
(聞き手・文:田代 宏)
<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都江東区有明1-3-33(本社)
TEL:03-6555-3910
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URL:http://www.dnszone.jp
事業内容:スポーツサプリメントの製造・販売