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アサヒカルピス「L-92乳酸菌」、暴走するウェブ広告(後)

<急遽、広告の掲載を中止>

 広告主のアサヒカルピスウェルネス(株)は、今回のウェブ広告についてどのように考えているのだろうか。

 アサヒグループホールディングス(株)は取材に対し、「今回指摘され、改めてウェブ広告を確認したところ、別のものとすべき掲載原稿を一部誤って使用していた事実が判明したので、当初予定を変更し、2月20日をもって広告掲載をストップした」(広報部門)と回答した。不適切な行為だったことを認めているとも受け止められるが、説明のとおりだとしても、あまりにお粗末な話だ。

 同社はテレビCM、ウェブ広告、新聞広告、折り込みチラシなどのあらゆる手法を通じて、「L-92乳酸菌」を配合したサプリメント『アレルケア』について、膨大な量の広告を展開中。これと並行して、ウェブ広告を中心に成分の効能効果を不特定多数の消費者に伝えている。消費者間で成分広告と商品広告が結び付く状況が出来上がるのも、時間の問題とみられる。

 「L-92乳酸菌」の広告をめぐる問題は、もはや掲載媒体や掲載日などの差異を問う法律論では片づけられない状況にあるようだ。

<成分広告の取り締まり強化が課題に>

 前述したように、「L-92乳酸菌」の問題は業界全体にも悪影響を及ぼしている。ここ最近、乳酸菌を扱う複数の他社でも、「L-92乳酸菌」を真似た広告展開が散見されるようになった。特に、ウェブでは脱法行為を行いやすいという誤解が、広がりつつあるのではないかと危惧される。

 「L-92乳酸菌」のように花粉症、鼻炎、アトピーの症状軽減を標ぼうした場合、それを鵜呑みにした消費者は治療を中止し、サプリメントに走る恐れがある。しかも、“名医”を広告塔に据えることで、医薬品と誤解させる可能性もあるだろう。

 消費者利益を守るためには、健康食品の成分広告に対する取り締まりの大幅な強化が喫緊の課題となっている。同時に、業界団体には業界関係者に向けて、成分広告の自粛を呼びかけるなどの取り組みが求められそうだ。

(了)

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