アカデミアが見た改正制度1年の現場 福科大・竹田竜嗣准教授に聞く──PRISMA2020準拠、定着の兆し
ウェルネスデイリーニュースの長期連載『エビデンス入門』の著者である竹田竜嗣・関西福祉科学大学健康福祉学部准教授(福祉栄養学科)。アカデミアの立場で、機能性表示食品のシステマティックレビュー(SR)の監修や臨床試験のプロトコル設計などに携わっている。大きく改正された機能性表示食品制度の運用状況が竹田氏からはどう見えているのか。27日、都内で話を聞いた。
──SRのPRISMA2020準拠について。
竹田 年明け以降、(消費者庁による不備)指摘もだいぶ落ち着いてきたように思います。禅問答かのようなやり取りが無くなった、指摘が分かりやすくなったと多くの方から聞いています。実際、SRをお手伝いさせてもらったいくつかの届出の中には、(不備指摘なく)一発で受理されたものもあります。少なくとも一度は差し戻されるとお伝えしていたのですけど。消費者庁側も、企業側も、PRISMA2020(に準拠したSR)にだいぶ慣れてきたのではないでしょうか。
ただ、ご相談いただくことは多いです。差し戻された後に「どうすればいいか」というご相談もありますし、(新規届出に関してPRISMA2020準拠が実質的に義務化された昨年4月から)もう1年ほどが経ちますが、これから本格的に対応していこうと原料メーカーさんなどもいらっしゃいます。既存届出を(PRISMA2020準拠のSRに)切り替えないといけないわけではありませんが、自己点検等報告が導入されたことで、やはり「PRISMA2020に対応したSRはないのか」と求められるのだと思います。自己点検等報告は要するに、届出の更新制が導入されたのと同じですから。
──自己点検等報告について相談を受けることは?
竹田 (報告)資料の作成相談はありますね。3月に入ってから増えました。特に、安全性と機能性に関する(情報)検索のところ。どのように報告すればよいのか迷われている方が多いように感じます。また、私自身がどうこうできるわけではないのですが、「(機能性関与成分の)分析が間に合わない。どうすればいいか」というご相談もいただきます。消費者庁も(届出者)個別に連絡を入れるなどしてかなり慎重に進めているようですね。(3月末の報告期日までに)間に合えばいいのですが。
──今はどのような機能性表示(ヘルスクレーム)が志向されているか。
竹田 ヘルスクレームがややマンネリ化してきたからでしょうか、新しさが求められているような気がします。ちょっと尖った、というか。例えば、対象者をかなり絞ったヘルスクレーム。従来ですと対象者はできるだけ広く、というかたちでしたよね。そうではなく、狭くしたいと。それを実現させるための試験設計などについてご相談をいただきます。やはり、差別化が求められているということだと思います。
また、異業種からのご相談も増えています。具体的なことは言えませんが、機能性表示食品をやっていこうという企業の意向は今でも強いと感じます。(紅麹サプリ事案を受けて規制が強化されたことで)以前からサプリメントを販売なさってきたところは引き続き慎重なのだと思いますが、これから参入しようというところは逆に、「やりやすい」と捉えているようです。規制が強化され、あいまいさが減ったことで、やりやすくなったと。
──SRの事前登録の必要性を指摘する声もある。
竹田 企業側としては、どのような商品を開発しようとしているのかを知られたくない。ですから、SRの事前登録は避けたいと考える。そのため、機能性表示食品制度におけるSRはそれがちょっと難しいところがある。個人的には、事前登録はさほど進まないと思っています。
ですが、学術的には、(臨床試験だけでなく、文献報告された研究成果を評価する)SRやメタアナリシスの研究も事前登録するものだとされています。一方で、私もSRの論文を雑誌(学術誌)に投稿することがありますが、事前登録を(行ったかどうかを)言ってくる雑誌と、言ってこない雑誌の両方があります。もし、英文で海外誌に出すなら事前登録はやったほうがいい。ですから、事前登録を行ったほうが良いのは確かです。
【聞き手・文:石川太郎】
(冒頭の写真:インタビューに答える竹田准教授。2026年3月27日、ウェルネスデイリーニュース編集部内)
【プロフィール】竹田竜嗣(たけだ・りゅうじ):2000年近畿大学農学部農芸化学科卒、05年近畿大学大学院農学研究科応用生命化学専攻、博士後期課程満期退学、博士号(農学)取得。近畿大学農学部研究員などを経て16年から関西福祉科学大学健康福祉学部講師、23年4月から現職。

