どうなる?契約書面電子化への動き 政令改正まであと5カ月だが・・・
昨年7月に始まった1回目の検討会開催から1年3カ月、7回にわたるワーキングチーム会合を挟み、延べ13回という異例の審議を経て報告書の取りまとめに至った「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」(契約書面電子化検討会)。
昨年11月30日~12月29日にかけて、政省令案に対する意見募集(パブリックコメント)を行った。
政令案を見る限り、「消費者保護機能が確保されるよう慎重な要件設定」(報告書)が行われた結果、事業者には厳しい内容になっている。それでも、消費者団体には、これでもまだ足りないとし「施行2年後見直しの際に検証し、必要に応じて法改正の検討を行う」よう求める動きも――。
例えば、報告書で定めた「書面並みの一覧性を有する電子機器」については、「電磁的方法により提供される事項を閲覧するために必要な電子計算機(その映像面の最大径をセンチメートル単位であらわした数値を2.54で除して小数点以下を四捨五入した数値が5以上であるものに限る)としている。これだと、長辺が11センチ以下のスマホのディスプレイだとアウトとなる。
さて、年が明けて施行までの見通しはどうなのか?
今後のスケジュールとしては、消費者委員会の諮問を経た後に、パブコメ公示⇒閣議決定を経てから公布⇒政令の施行となる。
公布から施行までの間には消費者への周知期間が設けられるが、「できるだけ長く取りたい」というのが消費者庁サイドの本音。検討期間の割に、準備期間が短か過ぎるということだろう。
というのも、「契約書面等の交付に代えて、購入者等の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができるものとすることに係る改正規定」については、施行日は公布の日から起算して2年を超えない範囲内と定められているからだ。
つまり、改正特商法の公布が2021年6月16日だったため、施行日は6月15日までを期限とすると定められているのである。
今のところ、「詳細なスケジュールは未定」とする消費者庁。昨年から相次ぐ検討会、法改正などに追い立てられたが、当面、日程のやりくりに追われる日々が続きそうだ。
【田代 宏】