景表法改正案、きょう閣議決定 不当表示の抑止力を強化、直罰規定など新規導入
優良誤認などの不当な広告表示の抑止力を強化する景品表示法の改正案を28日、政府が閣議決定した。今国会の成立を目指す。
改正案では、故意の不当表示に対して行政処分(措置命令)などを経ずに100万円以下の罰金を科す直罰規定を新設するほか、措置命令と一体的に命じる課徴金納付命令の規定を見直し、違反を繰り返した事業者に対しては課徴金額を現行の3%から4.5%に割り増す。
適格消費者団体に根拠資料の開示請求権
また、独占禁止法を参考に、違反が疑われる表示を行う事業者に自主的な改善を促す「確約手続」制度を、事業者の予見可能性を高めるためのガイドライン(指針)も策定した上で新たに導入する。同制度を通じて、違反の恐れのある表示の早期是正につなげる。さらに、事業者に対し、表示の合理的な根拠を示す資料の開示を適格消費者団体が要請できるようにもする。事業者には、適格消費者団体からの開示要請に応じる努力義務を課す。
前回の法改正は2014年。国際社会のデジタル化の進展などを受け、現行法では対処できない課題が出ていたほか、インターネットを中心に、違反の恐れがある広告表示の端緒件数が増加している一方で、調査件数を増やせていなかった。景表法を所管する消費者庁は、法改正を通じて同法の執行力や対応力を高め、消費者利益の保護を図りたい考えを示している。改正法の公布後、1年半以内に施行する。施行日は政令で定める。
【石川 太郎】
(冒頭の画像:昨年開催された景表法検討会の第10回から。左から中川座長、河野太郎消費者担当大臣、新井ゆたか消費者庁長官)
関連記事:2022年に消費者庁が開催した景表法検討会の動き
〇23年1月16日に公表された報告書
〇報告書案を取りまとめた第10回検討会