えがお、一般食品事業を新たに 「OICTO」の展開スタート、サプリ事業とのシナジー創出へ
サプリメントの通信販売を手がける㈱えがお(熊本市東区、北野忠男会長兼社長)が食品事業を新たに立ち上げ、野菜飲料をはじめ調味料、冷凍食品など一般食品の受注を12日から開始した。九州の方言で「おいしい」を意味する『OICTO(おいしいと)』の名称で食品事業を展開していく。70代以上の高齢者を中心とするサプリメントの顧客基盤を維持しつつ、食品事業を通じてそれ以外の年代からも顧客を開拓していく狙い。
食品事業の立ち上げに合わせて都内で会見を行った同社の原田永幸CEO(最高経営責任者)は、「事業の優先順位第一はサプリメントであることに変わりはないが、顧客拡大や事業シナジーを考えると、食品事業は非常に重要な事業の柱になる可能性を持っている」と述べた。原田CEOは就任時、『黒酢』と『鮫珠』(鮫肝油)を2大主力製品とするサプリメント以外に、食品や美容にも事業の軸足を広げて、各事業のシナジー創出を図りながら、顧客の年代層を拡大していく成長戦略を示していた。
新たに立ち上げた食品ブランドのOICTOは全5カテゴリーで構成。黒酢など「発酵酢ドリンク」、黒酢の調味料や即席みそ汁など「伝統発酵食品」、韓国餃子(マンドゥ)など韓国料理の「冷凍食品」、地元熊本産柑橘類のでこぽんを原料にしたジュースなど「果実・果実飲料」、お米と一緒に炊く「全粒穀物」の5カテゴリー。食品事業の新規立ち上げに当たり、韓国CJグループのCJ FOODS JAPAN㈱(東京都港区)とアライアンス契約を締結しており、『美酢(みちょ)』や『bibigo』といったCJの食品ブランドも取り扱う。今後、同社以外にも食品事業のパートナーを開拓していく方向だ。
原田CEOは会見の中で、「サプリ事業と食品事業のシナジーが成長戦略に欠かせない」とコメント。両事業のシナジーを創出することで、「顧客基盤が高齢者中心からキッズ&ファミリーまで広がっていく。この広がりが、若い世代のサプリメント利用の拡大にもつながっていくと考えている」と述べた。
食品事業の初年度売上高目標については、「10億円を下回る億単位で推移するだろうと見ている」とした。成長に向けた投資は、引き続きサプリメントの主力製品に集中させる考え。そのため、食品事業の初年度は「どれくらいのビジネスチャンスがあるかを見極めることが第一。10取れると思っても5くらいを確実に取っていく、という目線でスタートしたい。機会点(好機)を最大に取りにいくのは来年からだと考えている」と説明した。
同社の直近年商は150億円超。原田CEOは会見で、「微増だが増収増益という状況。(主力製品の)『黒酢』、『鮫珠』のマーケティングの進化、地域戦略を通じて(業績を)もっと上げていきたいし、食品事業がさらに成長を加速させると期待している」と語った。
【石川太郎】
(冒頭の写真:12日、えがおが都内で開いた食品事業の新規立ち上げ発表会で会見する原田CEO。下の画像:食品事業のブランドアイコン。いずれも同社提供)
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