連載・美容食品素材の今(2)カツオエラスチン 「弾力の維持」表示も可能に
林兼産業㈱(山口県下関市、中部哲二社長)が製造・販売を手掛ける機能性表示食品対応素材の「カツオエラスチン」。膝関節のケア、血管のしなやかさ(柔軟性)維持といったヘルスクレームとともに届出実績を積み上げてきた中で、昨年12月、訴求できる機能性が広がった。エラスチンの名が消費者に最も認知されているだろう「美容」の領域でも機能性表示が可能に。届出サポートを手がける同社としても今後の動きに期待を寄せている。
「肌の弾力を維持し、肌のうるおいを守ることで肌の健康維持に役立つことが報告されています」。
カツオエラスチンについて可能になった肌領域のヘルスクレームはこうだ。機能性関与成分の名称は「カツオ由来エラスチンペプチド」で、研究レビューは林兼産業で実施した。「エラスチンはもともと美容イメージが強い素材。『待っていた』という声もお客様から頂戴しています。今後、商品リニューアルに合わせて機能性表示食品に切り替える動きが広がりそうです」と同社では話す。
市場拡大に向けた3つの強み 風味・低用量・新規性
エラスチンは、体を構成するタンパク質としてコラーゲンに次いで多く存在する細胞外マトリクス成分。伸ばしても元に戻るゴムのような弾性があることで知られる。肺や動脈、靭帯をはじめとする全身の臓器、組織に分布しており、皮膚に関しても、コラーゲンと共に真皮層に多い。加齢とともに減少していくとの報告もあり、エラスチンの減少が皮膚のたるみの原因の1つになるとも考えられている。
林兼産業が機能性表示食品対応素材として製造・販売を手掛けるカツオエラスチンは、カツオの「動脈球」を原料にしたもの。動脈球は魚類に特有の血管組織で、エラスチンが多く含まれる。それを酵素分解などの工程を通じてペプチド化。コラーゲンなど他のタンパク質を取り除いている他、独特の魚臭も脱臭処理で除去してある。
同社担当者は、美容食品素材としてのカツオエラスチンの強みをこう説明する。「気になるような風味はありませんし、水溶性にも優れます。そのため、パウダーからドリンク類まで配合しやすい素材と言えます」
また、1日あたり必要摂取量の少なさも大きな強みだ。科学的根拠に基づく必要量は75mg/日と100mgを下回る。カツオ由来エラスチンペプチドを機能性関与成分にした機能性表示食品について、美容領域から膝関節ケア、血管の柔軟性維持まで同じ量で届け出がされている。他の機能性関与成分と組み合わせたダブル・ヘルスクレームなどを行う場合にも、この点は大きな強みになりそうだ。
次のようにも話す。
「(美容を訴求する機能性表示食品の)市場で差別化しやすい素材だとも言えそうです」。
というのも、保湿や弾力といった肌にかかわる働きを訴求できる機能性関与成分は複数存在し、それを配合した最終商品も少なからず販売されている中で、カツオ由来エラスチンペプチドは昨年12月に届出が公開されたばかり。当面、「新規成分」として捉えられることになる。
【石川 太郎】
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