【特集】改正特商法~悪質なアフィリエイトの排除へ(前)
アフィリエイター、広告主、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)、広告代理店などが集まり、アフィリエイト業界を正しく盛り上げていこうという機運の下、2010年12月に発足。17年には一般社団法人化した。同協議会笠井北斗代表理事に話を聞いた。(敬称略)
<会員は400社・団体・個人>
――(一社)日本アフィリエイト協議会の活動内容についてお聞かせください。
笠井 設立は2010年12月です。2000年頃からアフィリエイトビジネスが成長していくなかで、アフィリエイターや広告主、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)、広告代理店などが集まり、この業界を正しく盛り上げていこうという機運が高まりました。最初は40~50人程度の規模でスタートした業界団体です。
――現在の会員数は?
笠井 正会員枠と一般会員枠に分けておりまして、正会員枠というのは年会費を払っていただいて議決権を持った会員で、一般会員はどちらかというとアフィリエイトの初心者層であったり、会社としてまだ稟議が通らなくて、正会員として社名を出して参加するのはまだ難しいというような企業の担当者の方です。ほぼ3分の1が正会員で、3分の2が一般会員という構成です。併せて約400社・団体・個人といった数です。
――活動の主旨は?
笠井 「アフィリエイト・ビジネスの健全な発展と普及、そして消費者利益と事業者利益の共存と成長を図るための活動」を理念に掲げています。
――消費者利益を事業者利益より前に持ってきているのには何か意味が?
笠井 はい。そこが設立の際に最もこだわった点でして、私たちは消費者利益をおざなりにする業界に未来はないと考えています。アフィリエイト業界だけが儲かればいいよという考えではなく、アフィリエイトという仕組みがあるからこそ消費者が利益を得られる。そして消費者が利益を得ることでアフィリエイトの事業者も同じように利益を得ることができる。そのような業界を作りたいと思っています。
――どのようなプログラムがあるのですか?
笠井 業界内外でのオンラインによる勉強会や研修会、ホームページを使った情報発信を行っています。それから通販系・ネットサービス系の業界団体や広告関係の団体、また、消費生活センター、全国の適格消費者団体とも協力し、消費者向け、事業者向けの教育、啓発活動などを行っています。
<ブラックリストを会員で共有>
――具体的には?
笠井 私たちは独自にパトロールを行っています。アフィリエイトの仕組みを悪用した広告主であったり、通販会社であったり、アフィリエイトメディアの情報というのをできるだけ早い段階で集めて、ここがおそらくアフィリエイトをやりそうだから食い止めようというので、会員のなかでブラックリストとして共有したりですとか、あとはいくつか他の団体と足並みを揃えて、取り締まりに動いたり、悪質なアフィリエイトの仕組みを悪用する事業者の排除の活動に取り組んでいます。
――パトロールの手段は?
笠井 大きく分けると2つあります。1つは当社の事務局スタッフや協議会会員が専用のパトロールツールやパトロールの端末を使いながら、夜間などに、地方から変な広告が出てないかというのを定期的に巡回しています。もう1つは、プログラムが得意な会員の方に悪質なアフィリエイト広告のクローリングソフトを作ってもらい、それを24時間365日、ネット上で動かし続けて、怪しい媒体があればピックアップし、協議会の不正対策の委員会や理事会の間で共有しています。
――巡回というのは、ホームページのチェックという理解で宜しいですか?
笠井 SNS、フェイスブック、インスタグラム、YouTubeの動画などにある特定のキーワードや特定の投稿から、インフィード広告を追っていったり、別の運用型広告にアフィリエイターが出稿してないかというのをチェックしたりします。あとは検索の結果ですね、グーグルの中で、例えば健康食品と病気の名前とかで調べていく。そういうのを標ぼうしているようなサイトがないか、もしあった場合にはそこがアフィリエイトのリンクを貼ってないかということを確認します。
――なるほど。先ほどのクローリングというのは、消費者庁が行っているロボット検索のようなものですね。
笠井 消費者庁とは別の仕組みのものを使っていますが、おっしゃる通りです。
(つづく)
【文・構成:田代 宏】
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