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【特集】「改正薬機法」業界への影響(前)

 編集部ではアンケート調査を実施。改正医薬品医療機器等法(改正薬機法)が事業者に与える影響や今後の対応、課徴金制度導入に対する意見など、通販事業者250社に回答を求めた。アンケートの回答期間は8月10日から31日まで。有効回答数は152社、回答率は61%だった。

改正法施行、課徴金導入
認知度は86%

 アンケートは、健康食品や化粧品を取り扱う事業者を中心に、大手から中小まで全国の通信販売事業者から回答を得た。事業者の販売手法は自社サイトによるEC、モール販売、テレビ・新聞・ラジオなどさまざま。
 改正医薬品医療機器等法が8月1日に施行されたことについて、「知っている」が86%、「知らない」が14%だった。課徴金制度が導入される点についても回答率は同じだった。業界の関心度の高さがうかがえる。また、「知っている」とした事業者のうち、企業活動に影響があるかどうかについては、「大いにある」「ある」が合わせて52%、「ない」が20%、「わからない」が28%という結果になった。さらに、影響があるとした事業者はその対策について、20%が「万全だ」、24%が「準備中」、同じく24%が「これから練る」、32%が「わからない」と回答した。
 
 「万全だ」とした事業者からは、「外部のチェック機能を有する専門の会社に委託し、常に広告内容のチェックを行っている」という声が多く聞かれた。また、「日ごろからコンプライアンス重視のスタンスを取っている」、「薬機法を社員1人ひとりが理解できるような教育体制を継続する」など、改正されたことで新たに対策を行うというより、これまで通りの法令順守体制を維持するという声が大半を占めた。大手を中心に、同法の社内研修や担当者の増員、責任役員を含めたコンプライアンス順守体制の強化も進んでいるようである。
 
 「準備中」とした事業者からは、「これまでも行ってきたが、セミナーや勉強会に積極的に参加し法理解を進め、各部署の部門長以上に周知を行った。今後は、さらに担当役員による教育訓練を行う予定」という。販促物のリーガルチェックを強化し、コールセンターのオペレーターへの提供資料やウェブサイトの再点検、広告表現に対する勉強会などを進め、担当部署だけでなく全社的に取り組みを行う動きも。さらに、広告制作の外注先との意思疎通を図り、表現内容のチェックをより慎重に行うなど、これまでの対策をより強化する動きが見られる。

 これから機能性表示食品に挑戦する事業者からは、表現に対する根拠となる科学的な実証を行い、エビデンスに基づいた商品開発を推進するという声もあった。また、ある中小規模の通販事業者では、「健康食品の販促を抑え、部外品にシフトしている」と話していた。
 「わからない」とした事業者からは、「誇大広告が発覚した場合、代理店、アフィリエイター、インフルエンサーと販売事業者の責任を明確にできるのかよく分からない」という声があった。

課徴金「評価する」69%
「評価しない」31%

 課徴金制度の導入について、「評価する」、「大いに評価する」は合わせて69%だった。「評価しない」が「全く評価しない」と合わせて31%という結果になった。「評価する」と回答した事業者からは、「悪意のある案件に対しては必要と考える」、「悪徳事業者を排除し、消費者が正しい情報で判断し商品を購入することができる」、「法令違反する悪質な訴求を行う事業者や代理店が減少する」として、業界の健全化につながることを理由に、期待を寄せる声が多く聞かれた。

 また、「効果や作用が明らかではない健康食品などに流通制限がかかることを考えると、妥当な改正だと思う」、「今回の改正で、販売事業者だけでなく、広告代理店やアフィリエイターなどにも大きな影響が出ることが予想される。虚偽・誇大表現のネット広告が深刻化しているなか、商品売上高の4.5%とした課徴金は、景表法違反の3%よりも高く、行政の本気度を感じた」と評価する声もあった。
 一方で、「評価しない」とした事業者からは、「消費生活センターなどに寄せられる相談件数が多いものが取り締まりの対象になるのは良いと思うが、それでも、世の中に存在する全ての広告を、平等にジャッジできるわけではない」、「景表法違反による措置命令などもそうだが、対象にならなかった事業者でも違反広告を出しているケースはある」として、公平性に欠けるという理由から評価できないという声が少なくなかった。また行政に対して、「違反広告に該当するかどうかグレーなものや、取り締まる側の判断基準に差があると、課徴金の効果に疑問が残る」として基準の明確化を求める声や、同法を隈なく浸透させるためにも、研修などを含めたフォローアップ体制の構築を求める声もあった。 

(つづく)

【藤田 勇一】

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