『ケトジェンヌ』のTOLUTO(前e.Cycle)、今度は景表法違反
<サプリメント『ケトジェンヌ』で嘘の痩身効果を標ぼう>
サプリメント『ケトジェンヌ』の摂取によって体質が変わり、痩身効果が得られると表示したとして、消費者庁は19日、健康食品・化粧品販売会社の(株)TOLUTO(前e.Cycle、東京都渋谷区、佐々木信一代表)に対し、景表法違反で措置命令を出した。『ケトジェンヌ』については健康被害情報の急増を受けて、消費者庁が昨年9月に異例の注意喚起を実施。また、同社は特定商取引法違反で、昨年12月に業務停止命令を受けている。
消費者庁の調べによると、同社は昨年8月2日、自社のウェブサイトで同商品を販売する際に、「スリムボディ」、「ケトン体質に切り替える」、「頑張るあなたのダイエットを応援!」などと記載。同商品を摂取するだけで体が「ケトン体質」となり、簡単に痩せることができると誤認させる表示を行っていた。
同社から提出された表示を裏付ける資料は、合理的な根拠として認められなかった。「5つの成分の一般的な解説にとどまっていた」(表示対策課)という。
消費者庁では、表示が景表法で禁止する「優良誤認表示」と認定。同社に対し、違法な表示であることを一般消費者へ周知することや、再発防止策を構築することなどを命じた。
同社は19日、ホームページ上で「お詫びとお知らせ」を掲載。措置命令を厳粛に受け止め、再発防止に取り組むとコメントした。
<前代未聞の不祥事続き>
『ケトジェンヌ』は昨年3月に発売。消費者庁の事故情報データバンクには、昨年4月から今年2月までの間に、同商品による健康被害情報が721件登録されている。
健康被害情報の急増を受けて、消費者庁は昨年9月6日、使用後に体調不良が生じた場合、使用を中止して医療機関を受診するように、消費者に向けて注意喚起を行った。個別の健康食品を対象とした注意喚起は異例という。
その後、厚生労働省などが原因究明を進めたが、同商品と健康被害の因果関係を突き止めるまでには至っていない。
また、PIO-NETに寄せられた同社に関する消費者相談は、昨年3月から今年3月8日までの期間で約4,100件に上る。定期購入トラブルの相談が多数寄せられたとみられる。
消費者庁は昨年12月26日、化粧品の定期購入契約に関する表示が特商法に違反するとして、同社に対し、今年3月25日までの3カ月間、通信販売に関する業務を停止するように命じた。さらに、社員の中谷裕一前代表にも、3カ月間の業務禁止命令を出した。
今後注目されるのは、今回の景表法違反に伴う課徴金の調査結果。(1)健康被害で異例の注意喚起、(2)定期購入契約をめぐる特商法違反、(3)嘘の効能効果で景表法違反――これに課徴金納付命令が加われば、不祥事が多い健康食品業界でも前代未聞の不名誉な“四冠達成”となる。
(画像:広告の1例、消費者庁の公表資料より)